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InfoComモバイル通信T&S

2010年12月号(通巻261号)

サービス関連(通信・オペレーション、製品・端末、コンテンツ・放送、その他)

■GSMA、リモート開通対応の埋込型SIM開発でinitiative結成

2010年11月18日、香港で開催されていたGSMA Mobile Asia Congress(MAC)2010において、主催者であるGSMアソシエーションが、リモート環境からの開通処理が可能な機器埋込型SIM(embedded SIM)の開発でinitiativeを結成したと発表した。世界の大手通信事業者が設立時メンバーとなっているが、この動きが示唆するものは多岐にわたると考えられる。

■ネットワーク・マネジメントの復権を図る海外通信事業者

近年、欧州市場を中心として、これまで通信事業者が自前で行ってきたネットワーク・マネジメントをアウトソーシングする、通信事業者間でネットワークを共有するといった動きが相次いでいる(本誌2009年8月号「サービス・プロバイダへの「脱皮」?欧州モバイル・キャリアのパラダイム・シフト」参照)。この背景には、データ・トラフィック急増対策の他、英国の「デジタル・ブリテン」のような各国政府によるモバイルを含めたブロードバンド普及政策など、通信事業者にかかる大きな期待と圧力がある。他にも洋の東西を問わず、Wi−Fiなどの外部ネットワークを活用してトラフィックの一部をオフロードするというのは既に常套手段となっている。通信事業者自身がネットワーク・マネジメントに直接関与する度合が減る傾向にあるというこうした流れは強まりつつあるとの見方が大勢だが、一方で自前のネットワークを改めて競争力の源泉と位置付け直す通信事業者も現れ始めている。

■「マルチデバイス」、「有料課金」へと動き始める米国の映像配信 ビジネス

米4大ネットワークのうちの3社(NBC、FOX、ABC)が出資するHulu(フールー)は、米国ではYouTubeに次ぐ人気を誇る動画配信サービスである。そのHuluが2010年11月、米国の全ユーザーに対し有料課金サービス「Hulu plus」の提供を開始した。また、Netflixやアップルなども有料映像配信サービスへの注力を感じさせる新サービスを発表した。一方、ディズニーなどハリウッド企業もマルチデバイスへのコンテンツ配信を行うための仕組みの整備を始めている。本稿ではこれら米国の映像配信ビジネスの最新動向を概説する。

■ ARPUの動向からみた移動体市場競争の概観(2006年度〜2010年度上期)〜「料金」と「付加価値」、そして「品質」

現在、日本の携帯事業市場では、かつての音声料金割引競争の影響の一巡が近付き、音声ARPUの下げ止まり傾向が明確になってきた一方で、ソフトバンクのiPhoneに実質上独占されてきたスマートフォン市場ではAndroid端末によるNTTドコモやKDDIの反撃が始まり、競争優位性における端末の機能差がなくなりつつある。その結果、スマートフォンのデータ通信料金競争への懸念が高まっている。契約数の人口普及率が9割に達し契約数の大きな伸びは期待できない中、「音声ARPUの下げ止りとデータARPUの増大、両ARPUの逆転による通信料収入の増大」という業界の成長シナリオの観点からは、料金競争の再燃は業界成長(金額ベース)にとって脅威と考えられるからである。ここでは現在のこうした状況の背景にある、2006年度4月からのソフトバンク(SBM)の参入から現在までの移動体市場(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)の競争状況ついて、契約数、ARPU、売上高(通信料収入)の動向と各社の施策と関連づけながら、概観したい。

■ 2010年7〜9月期、ICT在庫前年同期比48.9%増で大幅積み増し 〜地デジ化による需要を見越し強気の生産が続く

2010年12月9日に内閣府より発表された2010年7〜9月期の実質GDP(二次速報値)は前期比1.1%増、年率換算4.5%増と前期に比べ増加幅が拡大し、自動車やたばこの駆け込み需要や猛暑による景気押し上げ効果があったことが確かめられた。一方、ICT経済に目を転ずると、2010年7〜9月期は以下に示すように、エコポイント制度の12月以降の変更を前に生産面で液晶テレビを中心に在庫を大幅に積み増し、これが11月中にどこまで減少するのか、10〜12月期以降の在庫の状況が今後の景気先行きのひとつのポイントとなる。

■世界の携帯電話端末ベンダー勢力図の変遷 〜アップルがトップ5入り、新興国ベンダー勢力も拡大

世界の携帯電話端末ベンダー勢力図は、スマートフォンの本格的な台頭や新興国市場拡大などの影響を受け、ここ数年の間に大きな変遷を遂げている。かつて2位のポジションにあったモトローラの販売台数シェアはトップ5圏外へ転落し、またノキアはトップを維持しつつも40%近くあった同シェアを20%台に引き下げる中で、異業種のアップルや新興国ベンダーが勢力を強めつつある。本稿では直近2010年第3四半期までにかけての世界の携帯電話端末ベンダーの販売台数シェアの変化状況を個社別に概観するとともに、今後の展望について解説する。

■韓国ヨンピョン島砲撃を契機に見直しが求められる携帯電話設備

2010年11月23日に起きた北朝鮮による韓国ヨンピョン島砲撃後、韓国内では韓国軍の反撃についての検証が行われ、初期対応が不適切だったという批判が相次いでいる。その過程で、島内の電力と携帯電話網が麻痺していたことが明らかになり、安全保障上の警戒地域や自然災害発生時などに備えた電力・通信インフラ設備の見直しが指摘されている。
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