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![]() 世界の通信企業の戦略提携図(2000年11月24日現在) |
49. BTも株価対策で事業を分割・再編成BTは2000年4月からビジネス・データ通信、インターネット、携帯電話、電話帳部門の分離・独立方針を発表・実施してきたが、固定通信の卸売・小売分離を加え、2000年11月9日に大規模な分割・再編成計画を発表した。
今回の再編成は、年初来42%も下がった株価を引き上げることを意図したものだが、海外投資や3G免許費用で嵩んだ借入金300億ポンドを1年後に2/3に圧縮すると表明した にもかかわらず、株価は下がり続けている。問題はNetCo設立に関する規制をクリアするのに1年以上かかり、「今回の計画があまりにも複雑で、あまりにも遅く、抜本的でもない」との評価である。もともと成長株の携帯電話事業について収益性の高いビジネスユーザ中心の拡大戦略をとったVodafone と対蹠的に一般ユーザ獲得に注力し、M&A 戦略もデータ通信・IPネットに傾斜したC&Wと違って総花的でだったことが禍いしている。なお、P. ブロモフィールドBT 社長は、英国にはトラッキング・ストックは馴染まないので、一般の株式発行を行うとしている。
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50. AT&Tはリバティー・メディアを手放す方向AT&Tは2000年11月15日に、番組制作・供給部門リバティ・メディア・グループ(Liberty Mdia Group : LMG)を、税制上問題がなければ2001年春に分割( トラッキングストックを普通株にして独立)する考えを表明した。AT&Tは99年5月に合意したMSOメディア・ワン(Media One)440億ドル買収について2000年6月にFCC承認を得る際、(1)タイム・ワーナー・エンターテインメント(TWE)株式のうちMedia One持株25.5%の売却、(2)LMGの売却、(3)AT&TのCATV局の一部を売却し加入数を970万減らすこと、の3条件の一つを選択し2001年5月19日までに処理完了する条件を付され、その選択を2000年12月5日までに報告することになっていた。税制上の問題とは、99年3月に完了したTCI買収が免税だったため2001年3月以前に売却すると課税対象になるため、LMG売却と今回の4 分割決定の論理的基礎(rationale)が一致し非課税になると国税当局(Internal Revenue Service)を説得する課題を指す。TCI合併完了後2年経過すれば明白に非課税だが、それ以前だとグレイゾーンでIRSをクリアしなければならない。しかも、LMGについてはTCI時代に トラッキングストックが発行され、LMGとTCIの技術投資・海外事業統括事業TCI Ventureを統合して新しいLiberty Media Corporationが設けられ、それについてAT&Tが トラッキングストックを発行したため、経緯が複雑で解釈が面倒である。IRSの説得に時間がかかり、その間TWE株式に良い値がつけば売り、重ねてLMG分離を行うことも考えられる。 J.マローンLM会長は「AT&Tの一員であることには常にプラスとマイナスがあったが、プラスがじきに大きくなり、マイナスは遅くやてきた」と語りつつ、R.マードックのNewsCorp.に出資して議決権のない社外筆頭株主になり、衛星資産を切り離して設立された衛星TV事業Sky Global Networksの株式約5%を取得するなど、LM独立を見越した提携戦略を始動している。 |
51. フランステレコムのEquant買収、GlobalOneとの統合Concert、Infonet、Equant 、GlobalOne、C&W などのグローバル・サービス・プロバイダーは、これまで網管理機能つきグローバル・エンド・ツー・エンド・サービスに特化してきたが、伝統的国際キャリアーやGlobal Crossing、KPNQwestなどの新規参入キャリアーの追撃による競争激化に伴い、ネットワーキング・サービス(インフラ)とeコマース・サービス(アプリケーション)のいずれを中核能力(core competencies)とするか選択を迫られつつある。従来GlobalOneやInfonetがネットワーキングにを志向しConcert、Equant、C&W がeコマースに傾くと見られてきたところ、2000年11月20日にフランステレコム(FT)がGlobalOneとEquantの合併を発表した。Equantは、99年10月以来SITA/Equantの複合組織として(既報「No.2 SITAは組織再編成を決定」参照)、220カ国に展開するグローバル網により世界のトップ100企業の3/4を含む大規模ユーザ3,700社にグローバル通信サービスを提供してきた。2000年第3四半期の売上高は前年同期比+45%の約4億ドル、為替変動により3,100万ドルの損失を記録したが、2001年には約3億ドルの利益が見込まれ、時価総額は現在約60億ドルである。一方、GlobalOneはDT/FT/Sprint3社合弁グローバル網事業解体後FTの100%子会社になり(既報「No.20フランステレコム、グローバル・ワンを完全子会社化」参照)、2002年末収支均衡を目指し孤軍奮闘してきた企業。去る9月に北米28都市を結ぶディジタル網強化のため2億ドルを投資する計画を発表したところである。 合併手続は、(1)Equantが新規発行8,060万株と引き換えにGlobalOneのビジネス・データ事業及び現金3億ドルを取得する(音声サービスとカード・ビジネスはFTに残される)、(2)FTはSITA財団のEquant持株54.3%をFT株式約6,800万株と引き換え(FT1株:Equant2.2株、プレミア+37%、約30億ドル相当)に取得する、(3)現行のEquant・SITAジョイントベンチャー協定を改め、Equant/GlobalOneがネットワーク資産と運営の全権を掌握し、SITAが航空業界にEquant/GlobalOneのサービスを販売して、Equant/GlobalOneに最低収入額を保証し、Equant/GlobalOneがSITAに一定の奨励金を支払うと言う協定を結ぶ、(4)FTはEquantが新しく発行する1,000万優先転換株と引き換えにEquant/GlobalOneに10億ドル投資する(転換株は5年後に1株100ドルの評価で普通株に転換する)、5()合併手続は規制当局の承認をを得て2001年第1四半期完了と期待され、新組織名と統一ブランドが第2 四半期に発表される 。 Equant/GlobalOneの役員構成は、D. デルピン現Equant社長兼CEOが新組織の会長兼CEO、D. カクラン現GlobalOneCEOがCOO、J. オルキンス現EquantCFO(Chie Finamcial Officer)がCFOに就任する。 Equant/GlobalOneのネットワークは世界220カ国に及び、145カ国で顧客サービスをサポートする。現行サービスは、IP転送サービス、フレームリレー、ATM、統合音声・ データ、ホスティング、専門サービスと多様で、将来はFT傘下のeビジネス部門と合同で高度サービスを開発・提供する。「Equantは何でもやって呉れる」と評されてきたEquantのきめ細かな顧客支援サービスの伝統とFTの豊かな伝送容量や投資資金が融合され、コスト引下げや新サービス開発のシナジー効果が発揮されるものと期待される。 |
顧問 高橋洋文(編集室宛:nl@icr.co.jp) (最終更新:2000.12) |
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