ホーム > トピックス2001 > |
2001年4月掲載 |
欧州の第3世代携帯電話導入が
|
・メッセージング | 8〜13% |
・モバイル・コマース | 2〜3% |
・情報および娯楽サービス | 5〜10% |
・ビシネス・サービス | 8〜13% |
・デバイス間通信 | 2〜3% |
ボーダフォンとビベンディ・ユニバーサルの合弁会社「ビザビー」のモバイル・ポータルによるコンテントの制作は、顧客に価値を配信するというボーダフォンの戦略において重要な役割を果たし、トラフィックの増加に寄与するだろ。ボーダフォンは、デバイス(端末)、サービス、コンテント配信プラットフォームからCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)、料金計算の統合およびパーソナル・サービスまでのすべてのバリュー・チェーンを扱っていく、と同社の幹部は強調している(注3)。
(注3)Total Telecom, Vodafone Sees 20%〜25% of Revenue from Data by 2004
(http://www.totaltele.com, 2001.3.8)
先送りの第1の理由は技術に関するものだ。3Gの欧州標準であるUMTS規格は1999年に確定する予定だった。しかし、実際にこの規格がリリースされたのは2000年3月で、引き続く4〜6月期で180、7〜12月期で200の大きな仕様の改訂が行われた。規格が安定するまでには長い時間がかかるのだという。端末と既存網とのインターオペラビリティが特に問題なようだ。すでにクアルコムやアルカテルは、UMTS規格の端末を含む機器供給に遅れが出る可能性を警告していた(注4)。メリルリンチのアナリストの結論は、2004年までは十分な端末を含む機器の供給は難しい(注5)、というものだった。
(注4)Qualcom warns of delay in 3G roll−out timetable(Financial Times, Feb 23, 2001)
(注5)欧州の3G端末はGPRSとUMTSのデュアル・モードが不可欠で、開発が難しいという側面もある。
J−フォンが3Gサービスの開始を7ヶ月(当初予定から約1年)遅らせて2002年7月とすると発表した。J−フォンは2000年12月版仕様(当初は2000年6月版に準拠の予定)に変更することにより、サービス開始時期を遅らせてもパートナーのボーダフォンとの国際ローミング(3Gの売り物の一つ)を可能にすることに踏み切った(注6)。
(注6)「問題は9月バージョンと12月バージョン間で互換性がないこと」(通信機器メーカー幹部)。今年5月の次世代(携帯電話)を目指しながらも、12月バージョンへの明確な対応を決めていないNTTドコモとJ−フォンの姿勢の違いが浮き彫りになった。(日刊工業新聞 2001.3.14)
第2は2.5世代といわれるGPRSとの関係。欧州の主要携帯電話会社は今年GPRSを導入する。3Gと比べてスピードは多少遅くても、インターネットに常時接続が可能であり、コストも安い。これで3Gでなければ対応できない需要は何かを、2〜3年かけてテストできる。ボーダフォンのように、地方のモバイル・インターネット需要は当分GPRSで対応するという選択があるのかもしれない。いずれにしても、GPRSと3Gには適当な間隔を置いた方がよいという判断である(注7)。
(注7)「欧州のGSM網にGPRSをオーバーレイするコストは、加入者当たり9ドル(出所:Who Needs 3G Anyway、Business Week/3.26、2001 この記事には、「3Gの最大の競争相手は2.5Gである」、「よりシンプルで、遥かに低コストの2.5G(GPRS)が勝利するかもしれない」と書かれている。また、欧州における2005年の需要を、3Gが3,000万に対し、2.5Gを1億2,000万と予測している。)
第4はコンテンツと料金である。音楽、ビデオ、ゲームなどの配信が3Gの有望なコンテンツだとしても、伝送料金が高ければ利用は限られる。一方、利用を増やすため料金を安くすれば採算がとれない。3Gの技術にこのトレードオフを解決する能力があるのか、と疑問視する向きもある。
巨額の免許料を一刻も早く回収したいという意欲の強かった昨年の夏とは一転して、2001年に入ってからは、これ以上株価を下げないためにも「着実な次世代システムへの移行」を目指す雰囲気に変わっているという。最大の技術的問題であるUMTS規格の端末も、メーカー各社は本格的に供給する時期を2004〜5年と見定めているようだ。 主要事業者の動きとしては、ドイツ・テレコムが今年1月末に、3Gのサービス開始時期を2003年とする可能性を発表している。フランス・テレコムはUMTS規格のフランスでのサービスを2002年下半期にいくつかの大都市で開始するとしているが、端末の供給が鍵を握るとしている。アジアでは、前述したJ−フォンの延期の他、韓国最大の移動通信事業者のSKテレコムがサービス開始延期の意向(早くても2003年)を示し、コリア・テレコムがこれに同調している。現在時点で上記以外の携帯電話会社で延期の意向を表明しているところはないが、各社がサービス開始時期とその後の本格展開を先送りする方向で動いているのは間違いない。
(注)参考 :Financial Times, SURVEY−CREATIVE BUSINESS:
Third generation mobile phones,Mar 13, 2001
ドコモの立川社長が英国のフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューに答えたもので、「欧州の携帯電話事業者は3Gサービスの戦略を考え直すべきだ。3Gのサービス開始直後はビジネス・ユーザー向けサービスとなるだろう。だから、マス・マーケットにはならない。」と語っている。ドコモは3Gを、企業のコンピュータ・ネットワークと移動電話機をリンクするシステムとしてマーケティングすることから始めようとしている。「3Gは単純に通話を接続すればよいというのではない。我々はシステムを売り、運用し、保守する。3Gは新しいビジネス・モデルである。」(注8)
(注8) | NTT DoCoMo warns of slow take−up for 3G(Financial Times, Mar 13,2001) |
ドコモのこの慎重な態度の背後には、同社が「iモード」で余りにも素晴らしい成功を収めたからだとする見方がある。「iモードは、当初は音声通信時代からデータ通信時代へ移行期を埋めるものとして生み出されたが、今やモバイル・インターネットとしては唯一採算のとれる標準的「規格」となった。そのため、ドコモはiモードに影響を与えかねない次世代携帯電話に関し、積極的とも消極的ともいえない対応を見せている。ドコモは3Gに巨額の投資を必用としていることを十分承知している上、同社の3G端末サプライヤー11社のうちで(サービス開始の)5月に提供できるのは松下通工とNECだけと見られていることから、3Gに関して消費者や株主に失望感を与えないよう、慎重な構え方が得策だとの判断がある模様だ。」(注9)
(注9) | インフォコム・クイック・アップデート(情報通信総合研究所 2001.3.14) |
(参考)スプリントPCSが3G戦略を発表
米国第4位の携帯電話会社のスプリントPCSは、去る3月21日ラスベガスで開催された全米移動通信産業連盟(CITA)の2001年大会で、「3Gエボリューション戦略」を発表し、米国最初の第3世代携帯電話をcdma2000によって実現する計画を明らかにした。この戦略は4段階の展開から構成されている。なお、周波数は取得済みのものを活用する。
第1段階 | cdma2000 1xを導入し2001年中にサービスを開始、全国展開は2002年 音声トラフィックの容量倍増、データ伝送速度を144kbpsまで高速化 |
第2段階 | 2003年早期:データ伝送速度を307kbpsまで高速化 |
第3段階 | 2004年早期:cdma2000 1xEV−Data Only 導入 データ伝送速度(最大)2.4Mbps |
第4段階 | cdma2000 1xEV−Data and Voice 導入 伝送速度(最大)5Mbps |
(注) |
|
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |