■海外進出を加速する中国通信事業者
中国工業情報化部の発表によると、中国のモバイル契約数は2012年2月時点で10億件を突破した。3G契約数も既に2011年中に1億件を超えており、中国モバイル市場は堅調な成長ペースを維持している。しかし、中国通信事業者各社はこのような急拡大を続ける国内市場だけに留まらず、国家による後ろ盾と好業績がもたらす潤沢なキャッシュフローを活用して海外市場にも成長の場を求めている。本稿では、最近の動きが顕著な中国通信事業者の海外進出状況をレポートする。
■英ヴァージン、次なるMVNO進出先に中南米を選定〜MVNO未開拓の地でリーディングカンパニーを目指す
中南米の携帯市場においては、MVNO進出が盛んな欧米とは異なり、これまで殆どMVNOが誕生してこなかった。しかし昨今、市場が飽和に近づくに連れ、MVNO導入に消極的だった中南米各国の規制当局は、さらなる市場活性化を図るべくMVNOに市場を開放する姿勢にシフトしつつある。こうした流れの中、世界規模でMVNOを手掛けている英ヴァージンは2011年6月、MVNO未開拓の地であるこの中南米でMVNO事業を積極展開していく方針を発表した。
■FacebookのInstagram買収と次のソーシャル系サービス
2012年4月、Facebookはユーザー数が9億を突破したことを発表した。また、写真共有アプリのInstagramを約10億ドルで買収するなど、同社は現在最も注目されるIT企業の一社となっている。またTwitterに関しても、同社が最後に確認した段階でアクティブユーザー数は1億4,000万を超えており、1日のツイート数は3億4,000万を超えるという。このようにFacebookやTwitterは世界中に広がり、現在各国のベンチャー企業はFacebookやTwitterと連動した様々な「ソーシャル」系サービスを提供している。本稿では非常に勢いのある米国でのソーシャル系サービスの動向を概説する。
■AT&Tのプロバイダー課金への言及を取り巻く動向
2012年2月に開催されたMWCで、AT&Tのネットワーク・技術部長であるスティーブ・ドノバン氏は、モバイルアプリケーションのデータ料金をモバイルアプリ開発者やサービスプロバイダーに負担してもらうことを検討中であるということを明かした。近年、フェイスブック、Spotify、Netflixが提供する映画などの動画はストリーミングコンテンツとしてスマートフォンやタブレットで利用する機会が増えている。このようなストリーミングコンテンツは、モバイルブロードバンド回線を占有しつつあり、通信キャリアは急増するトラフィックの対応に追われている。トラフィック急増を背景に、今までは定額制課金であったが、米国の通信キャリアは従量制における課金プランへ移行しはじめている。AT&Tのプロバイダー課金への言及は、膨大なモバイルデータトラフィックを制御するのに効果があるのだろうか?
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