2011年11月22日掲載

2011年10月号(通巻271号)

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『事業継続とテレワーク
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コラム〜ICT雑感〜

「フェイスブック」を始めた「ガラケー人間」

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 今年6月に「フェイスブック」の利用を始めた。日本でも徐々に利用が拡大しているが、世界では8億人のユーザーがいると言われる巨大な「ソーシャルメディア」である。2010年末にアフリカのチュニジアで起こった「ジャスミン革命」は「フェイスブック」などソーシャルメディアによる情報伝達が大きな力を発揮したということで日本でもその存在がクローズアップされた。その後、「ジャスミン革命」の影響はリビアのカダフィ政権崩壊まで及んでいる。「フェイスブック」は「SNS(ソーシャルネットワークサービス)」のなかで世界最大のサービスで一部の国を除き、世界各国でトップシェアを占めている。これまで日本は「フェイスブック」の利用が少ない例外の一部の国の一つであった。しかし、今年に入り、利用者の数が急増し、パソコンだけのユーザーで1千万人を突破したと推計されている。これにスマホの利用者を含めると更にその数は大きくなる。これまで日本ではmixi(ミクシィ)など日本固有のSNSが大きなシェアを占めてきたが、これからの「フェイスブック」ユーザー拡大の動向が注目される。

何故「ガラケー人間」が「フェイスブック」を始めたか?

  ICT利用に疎い「ガラケー人間」が何故「フェイスブック」を始めたか、その利用体験はどうかをお伝えすることにより、「フェイスブック」利用に躊躇されている皆さんの参考にしていただきたい。「フェイスブック」の利用登録は極めて簡単で実名とメールアドレス、パスワードを登録するだけで、その他の情報、例えば本人の顔写真、生年月日、出身地、趣味などの登録は本人の自由選択である。勿論、利用料はかからない。初めは実名のみを登録し、徐々に個人情報を追加していけば、その情報に関連する友人が増える仕組みとなっている。私が「フェイスブック」を始めた動機は仕事上、社内のホームページや定期刊行物への執筆を知人、友人に知ってもらいためであった。反応があれば、執筆するインセンティブが湧くものである。また、会社は情報発信することが一つのミッションであることから会社のPRにも繋がるというメリットがあると思った。会社によっては公私の境目がはっきりしないため「フェイスブック」の利用を認めないところもあれば、会社や製品のPRに繋がることから積極的に利用を勧める会社まで今のところ対応が大きく分かれている。現在、「フェイスブック」上の友人の数は80名で多くが現在の職場関係者や仕事の関係者であるが、なかには大学の同窓生や職場OBがいる。仕事を離れても趣味の世界で仲間が広がる可能性もあると考えている。

「フェイスブック」を始めてみて

 「フェイスブック」を利用し始めて4カ月になるが、利用の感想を述べてみたい。まず良い点である。最近は通勤途上など「フェイスブック」で友人情報をチェックすることが多くなった。これまではスマホでBBCニュースや日本のニュースを見ていたが、友人発の情報はより親近感があり、友人の趣味や行動が分かり、リアルな場でのコミュニケーション活性化に繋がることが分かった。また、ジャカルタ事務所駐在当時の職場仲間からも連絡があり、旧交を温めることが出来た。フェイスブック上に「いいね」ボタンがあり、友人の「いいね」ボタンのリンクにより、有益な情報を得ることも出来る。また、「フェイスブック」上の友人に対し、意見を求めたり、分からないことを質問することも可能である。職場の懇親会や壮行会など記念の写真を友人が撮ってくれて、頼みもしないのに自分の「フェイスブック」上に「タグ」付けをしてくれることもある。最近「フェイスブック」が自分史を自動的に編集する機能を追加したというニュースが流れた。一時、自分史ブームが起こったが、自分史を書きたい人にとっては朗報である。「フェイスブック」上での日々の情報発信や写真がそのまま簡単に自分史になる。ここまで「フェイスブック」利用のメリットを挙げたが、マイナス面もある。まず、セキュリティ面の問題である。情報発信すればするほど個人の情報が集積され、悪意のある第三者にとっては労せずして個人情報が集められることになることには注意をするべきである。また、「フェイスブック」を有効に道具として使うつもりが、知らぬ間に道具に使われることもあり得る。パソコンや携帯のメールも同様のことが起こっているが、友人からのメッセージ、あるいは誕生日の連絡に返事をしないと友人関係が壊れてしまうという心配から、いつも「フェイスブック」を見ないと落ち着かないということになりかねない。

今後どうなる「フェイスブック」

 情報通信ではあるサービスが一定程度を超えると爆発的に普及すると言われている。「フェイスブック」は既にこの閾値を超えており、スマホ/タブレットの普及と相まって更に普及が拡大するものと思われる。最近のニュースとして「フェイスブック」がVoIPサービス最大のスカイプと提携したことが報ぜられた。近い将来VoIPを利用した友人間での安価なビデオチャットが実現する可能性がある。また、個人間の利用だけでなく、ビジネスシーンでの利用の方が進み、これまでの懸案だったビデオ会議が簡易な形で実現するかもしれない。一方、普及に伴う「影」の部分が拡大することも懸念される。ひとつはビデオチャットなど動画の利用によるトラヒックの急増。既にモバイルトラヒックが急増し、キャリアはその対策に頭を悩ましており、モバイルトラヒックを固定回線にオフロードするためWi-Fiやフェムトセルの利用、あるいは料金の「定額制」から「従量制」へという料金制度の見直しが検討されている。また、セキュリティやプライバシーの問題も大きくなるものと思われる。常に悪意のある第三者に情報が漏れるという前提での利用が求められる。

 日本では高度経済成長に伴う「共同体」の崩壊で、孤立化が社会問題になっているが、ソーシャルネットワークサービスはバーチャルでの共同体復活の動きであり、これがリアルと結びつくことにより新たな「共同体」形成の可能性を秘めている。

グローバル研究グループ 常務取締役 真崎 秀介

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