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コラム〜ICT雑感〜
IT革命の行方
イギリスで先行した産業革命では機械工業化による産業の変革とそれに伴う社会構造が変革し工業社会が実現するのに1760年頃から1830年頃までの約70年を必要とした。農業革命、産業革命に次ぐ3度目の革命といわれるIT革命(情報革命)は、1980年代以降のコンピュータ・情報通信技術の革新により社会構造やライフスタイルへの約2世紀ぶりの劇的な変化をもたらす可能性がある。これまで経過した約30年は産業革命達成に要した期間の約半分に相当し、今我々は残された後半の四半世紀という新たな局面を迎えているのではないだろうか。情報入手の高速化・広範囲化や商取引の直接化といったネット世界での新しいスタイルが確立される一方、リアル社会でのライフスタイルや文化の面での変革がまだ本格的ではないのが現状である。元気がないと言われて久しい日本も、携帯電話の個人利用の先進性やFTTH、ADSL、CATVによるブロードバンドネットワークの装備面、利用価格の安さでは世界的に高い水準を達成しており革命後半での出番は充分残されているのではないだろう
飽和の兆候
サービス利用促進の面ではモバイル事業者による新しいサービスへの取り組みが次々と打ち出されデータ通信のARPUが着実な増加を続けており、今後マーケットの大ブレイクが期待される動画配信ビジネスについても、通信・放送事業者を中心としたプレイヤーによるサービス拡大に弾みがついている。また、技術革新や社会のニーズに追随できずコンテンツ流通の大きなハードルとなっている著作権処理の制度を巡っても著作権法改正が現在進行中であり、さらにそれを待ちきれないお金を流す仕組み作りも進んでいる。 新たな飛躍へ
情報通信インフラの量的充実が飽和状態までに近づきつつあることと、新しいライフスタイルや文化の創出による飛躍が進まないことに加え、2008年の景気後退の影響で企業の投資意欲の減退や消費者の購買意欲の低迷が生じIT革命の行方は不透明になっているが、このような逆境的な時期こそ企業においても個人レベルにおいてもITを新規ビジネス創出やライフスタイルの革新のために上手に使いこなす智恵を出すチャンスの時期でもあり、新しい発想による新しい飛躍が起こることに期待したい。 マーケティング・ソリューション研究グループ 取締役 清水 博 |
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