2006年4月号(通巻205号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<トレンドレポート>

ボーダフォン、海外戦略を転換

 去る2006年3月4日、日本経済新聞(夕刊)は、ソフトバンクが2月末までに英ボーダフォンが所有する日本法人の全株式(97.7%)の買収することを提案していたが、3月4日までに受け入れの回答を受けたと報じた。その後買収金額など条件確定の最終交渉に入っていたが、両社は予想外に早い3月17日に買収金額1兆7,500億円(これは日本企業による買収としては過去最大の規模である)と約2,500億円の負債の引継ぎなどで、交渉に合意したと発表した。同時に、ソフトバンクと英ボーダフォンは同日、携帯電話向けのネット・サービスを世界的規模で展開するための事業提携にも踏み切った。ソフトバンクによるボーダフォン日本法人買収の意義については、マスコミなどに数多く報じられておりそれを読んでいただくことにして(注)、以下に転換を迫られたボーダフォン・グループの海外戦略についてレポートする。

(注)ソフトバンクは既に、固定通信の日本テレコムとブロードバンド接続サービスのソフトバンクBBを傘下に持ち、今回の買収で携帯電話事業が加わる。ソフトバンクは昨年11月に携帯電話事業への新規参入を認められたが、割当てられた周波数(1.7GHz帯の10MHz)では全国展開するには容量が十分でなく(ボーダフォン日本法人は63MHzを保有)、また11月に予定されている番号ポータビリティの実施以前に市場参入することが今後の事業展開を有利に進めるうえで欠かせない、と判断して買収に踏み切ったのだという。これで国内3大総合通信企業(NTT、KDDIおよびソフトバンク)による「融合」を睨んだ新たな競争が始まるのではないか。ここでのソフトバンクの強みは、傘下のヤフー・ジャパンが提供するネット・サービスや動画などのコンテンツ配信で先行していることだろう。問題は、2兆円に及ぶ買収資金の調達や買収後のサービス改善投資などによって株主資本比率の低下(現在の12%から1ケタ台へ)など財務の悪化が避けられないと見られていることだ。アナリストの多くは、将来の競争力をつけるための買収は評価できるとしても、合意を急ぎ過ぎ割高な金額で買収したのではないかとみているようだ。成熟化しつつある国内市場で早期に競争力を回復できるのか、ハードルはかなり高いのではないか。

■「規模の利益」追求と「モバイル・オンリー」戦略の限界

 携帯電話世界最大手(売上高で)のボーダフォン・グループが日本事業の売却に踏み切った背景には、出資先企業が27ヵ国に広がる国際戦略の転換を迫られていた事情がある。同社の国際戦略に関する第1の柱は「規模の利益」の追求である。同社は従来から携帯端末機器、ネットワーク設備およびソフトウエアなどの購入に際しては、「規模の経済」が働くと主張してきた。しかし、同社が運営する地域事業のほとんどは同じ技術(GSM)を使っているが、米国と日本はその例外だった。

 ボーダフォンが45%を出資している米ベライゾン・ワイヤレスは、GSMとは互換性のないCDMAを使っている。だから、規模の利益を享受することはほとんどない。また、マイノリティ・パートナー(45%)であるため、米国ではボーダフォンのブランド展開もできない。そして、世界中で同一端末を使用するというボーダフォンの試みは、モバイル新技術の導入で欧州に2〜3年先行しているユニークな市場である日本で大失敗だった。ボーダフォンが原則を緩めて日本独自の端末を導入したことで、ようやく相次ぐ契約解除にストップをかけることができたが、その過程で、ボーダフォンの「規模の経済」に関する議論は根拠を失った。そして、今年末に3社の新規参入が予定されている日本市場では、さらに競争が激化すると予想されている。結果として、ボーダフォンがそのグローバルな野心を縮小させることは理にかなっている、とエコノミスト誌は指摘していた(注)

(注)Vodafone:Calling for a rethink (The Economist / Jan 26 2006)

 「世界戦略を追求することによって価値を創造するとしたボーダフォン・グループの能力に対して、市場は既に信頼を失っている。拡大戦略を転換し、事業運営(operation)にもっと重点を絞り込むべきだ。」と前掲のエコノミスト誌でボーダフォンの主要な機関投資家の一つが主張している。ボーダフォンが最近公表した業績によると、携帯電話の加入数は予想を上回って伸びているが、1加入当たり月額収入(ARPU)は主要市場の英国、ドイツ、イタリアおよび日本で低下している。これに対してライバルのO2の好調な業績は、事業運営に集中することの方が、グローバルな「規模」の拡大よりも重要であることを示しているとい

 ボーダフォン・グループの戦略に関する第2の柱である「モバイル・オンリー」アプローチもぐらついている。世界中の通信会社は、固定および移動通信の両方を購入する顧客に特別なサービス・パッケージを提供するため、ネットワークを統合しようとしている。さらに、固定および移動電話、ブロードバンド、テレビジョンの4つのサービスをバンドルする「クワドルプル(quadruple)・プレイ」の提供に向けて、多くの通信会社が準備を急いでいる。このような「融合」サービスのバンドル化が一般化すれば、ボーダフォンの「モバイル・オンリー」戦略は孤立することになるだろう。スカイプなどによるインターネット電話(VoIP)技術が固定から移動ネットワークに広がるにつれ、ボーダフォンの売上の大部分を占める音声サービスの収入が浸食される。インターネット技術が、急速に固定および移動通信の間の区分を曖昧にしようとしている時に、ボーダフォンは相変わらず「モバイル・オンリー」戦略を主張している。ボーダフォンの経営陣には「融合」に関する戦略がない、と前掲のエコノミスト誌で有力投資銀行のアナリストが批判している。

■ボーダフォンの戦略に変化の兆し

 これに対してボーダフォンのサリーン社長は、「規模」には有利な点があり、我々はそれを移動通信の世界で享受している、と反論している。しかし、彼は同時にボーダフォン・グループの戦略については、柔軟かつ実利的となるよう準備が必要であることを認めている。事実、いくつかの点で変化の兆しが見られるという。サリーン社長は、「規模」は重要だと強調する一方で、ボーダフォンはグローバルな「規模」を求める必要はなく、むしろそれぞれの「地域における規模」(regional scale)にこそ利益があるとコメントしている。「非欧州と比べて欧州により規模と範囲(の利益)が存在するか?もちろん存在する。グローバルに展開する場合、異なる技術に基づいている場合でも規模の利益は存在するが、その程度は小さくなる。米国と日本の事業ユニットは1年前と比較してその価値は高まっている。我々が今やるべきことは、株主に還元すべき価値がはっきり見えるようになるまで、これらの資産をきちんと維持することである。」とサリーン社長は前掲のエコノミスト誌で語っていた。ボーダフォンの取締役会は、現在のポートフォリオを維持すべきかどうかを定期的に検討しており、将来方針を変更するかもしれない。また、このサリーン社長の発言は、換言すると売却するのに適当な時期が来るまで待っている、と言っているようにも思われると前掲のエコノミスト誌は書いている。

 昨年ボーダフォンは、ルーマニア、チェコ、インド、南アフリカ連邦およびトルコの携帯電話事業に投資した。これらの地域はいずれもGSM技術を使っており、潜在的な成長力も高いとサリーン社長は強調している。成長市場へ投資を進める一方、日本とアメリカから撤退することによって、ボー ダボーダフォンは最大の「規模」の利益が得られる欧州とアフリカに戦線を縮小することを計画しているのだろうか?これに対してサリーン社長は、「(例えそのようなことがあっても)私はそのことを事業縮小とは考えない。それはリポジショニングである。」と答えている。

 ボーダフォンは事業運営を犠牲にして拡大路線に注力しているのではないか、という点についてもサリーン社長は否定している。ルーマニアとチェコにおける同社の事業は急速にボーダフォン・グループとの一体化が進み、期待以上の業績をあげているという。しかし、サリーン社長は現在進めているPolkomtel(ポーランド)に対する増資以外に、買い物リストに具体的な名前はなく、これ以上M&Aに邁進することはないと示唆しているという。

 ボーダフォンの「モバイル・オンリー」戦略は「融合」によってうまくいかなくなるではないかという点については、「融合」は極めて初期の段階にあり、人々がイメージしているものを顧客が本当に求めるかどうかに我々は疑問を抱いている、とサリーン社長は答えている。既にボーダフォンは大規模事業所の顧客には、固定通信会社から通信容量を購入することによって、固定/移動バンドル・サービスを提供している。また、ボーダフォンは固定通信会社のBTのワイヤレス・パートナーとしての役割を果しつつあり、イタリアと日本でも同様の提携を行なうことになるだろうという。その結果、ボーダフォンはこのような融合サービスにどれだけの需要があるかを予測できるようになる。サリーン社長はこのようなサービスを求める顧客は少数にとどまるとみている。このような場合にはボーダフォンは適切な固定通信会社とコラボレートするとしている。モバイルVoIPについても重大な関心をもっており、その動向を注視していくと語っている。

  サリーン社長は変化をまったく無視してはいない。しかし、彼がその戦略を微調整するか、完全に転換するかは、今後明らかになる。動揺があるとしてもしばらくの間は、同社の戦略の「2つの柱」は残るだろう、と前掲のエコノミスト誌は書いている。

■日本事業の売却はボーダフォンの戦略転換の始まり

 英国の小さな携帯電話会社から(売上高で)世界最大の携帯電話会社に変身させたと広く信じられているボーダフォンの前社長クリストファー・ジェント卿が、去る3月13日に名誉生涯社長から退いた。さらに、前社長に近くその戦略を踏襲する3人の幹部も辞任した。ジェント卿は経営に直接タッチする立場にはなかったが、サリーン社長の経営戦略の転換(日本法人の売却)を容認できなかったのだろう。

 ボーダフォンは、サリーン社長の下における同社の戦略に関する公然の内輪もめに取締役会が巻き込まれただけでなく、中期業績見込みの下方修正を余儀なくされ、さらに2000年にドイツの携帯電話/固定通信会社、マンネスマン買収などに伴う「暖簾代」280億ポンド(5兆7,000億円)の償却を迫られている。これを受けて同社の株価も、昨年9月の高値156.5ペンスから今年2月28日には109.0ペンスへ30%も下がった。(図表)参照

 固定/移動の融合の脅威が徐々に姿を現し、欧州市場での料金の低落が続き、新興市場の企業買収費 用が高騰しており、「大きいことは良いことだ」とする前任者の戦略が日本事業からの撤退で挫折したことを受けて、サリーン社長はボーダフォンの新成長戦略の詳細を説明する必要があると、ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズは報じている(注)

(注)Vodafone strategy in focus after board shakeup(Dow Jones Newswires / 13 March 2006)

 しかも、この7月には会長交代が予定されており、英国の最大の銀行HSBC Holdings PLCのジョン・ボンド郷が就任する。このことは、サリーン社長にボーダフォンの問題点を総括して、大胆に新しい方向を目指す機会を与えるだろう、サリーン社長が英国におけるライバルである固定通信事業のBTの基本戦略である「衰退市場に上手に対処し、新しい市場を成長させる」を真似したとしても驚くにはあたらない、と前掲のダウ・ジョーンズは指摘している。

 ボーダフォンが最近行なった最も重要な決定は、同社の日本における事業をソフトバンクに売却することについての話し合いを持ったことである。これはスウェーデン事業からの撤退に次ぐケースであり、将来のビジネスの形態に関する疑問を惹起させ、ジェント前社長が構築した帝国の解体の重要な第一歩を意味するという。日本事業からの撤退は、混乱状態にある同社の経営戦略に何が起きているかをコミュニケートする時間をサリーン社長が得たことになる、と有力証券会社のアナリストは指摘している。

 ボーダフォンをスリム化し、新興国市場にも進出する汎欧州事業者に転換するための明確な戦略の変更は、同社の前任の経営陣によるグローバルな帝国の設計よりも壮大さで見劣りするが、より先行き不安なモバイル通信市場において、「集中」は賢明な戦略であることを証明するかもしれない。しかし、日本事業からの撤退によって、ボーダフォンは2007年3月期における利子および税金控除前利益の60%を、利益率と収入が既にピークにある欧州5大国の事業に依存することになるという。このようなコア市場における収益力の低下に対する取り組みが、ボーダフォンが脆弱とみられている「融合」問題を解決するための固定通信戦略と同様に、緊急な課題であると前掲のダウ・ジョーンズは指摘している。

 サリーン社長は株主に還元する資金を調達するため、ベライゾン・ワイヤレスの株式売却の圧力を強く受けている。2月にボーダフォンの株式の評価を「underperform(期待以下の業績)」に格下げしたベア・スターンズ証券は、ボーダフォンが日本の事業および米国事業の持ち株を売却すれば、50億ポンドの株主配当のほか、株式の買い戻しまたは市場拡大のために130億ポンドの資金を調達できるだろう、と主張していた。しかし、ボーダフォンが45%を出資する米国の携帯電話会社ベライゾン・ワイヤレスの株式を売却すると決定すれば、同社は成長市場の一つを失うことになる。

  モルガン・スタンレー証券は、ボーダフォンの新興国に対する投資にも疑問を呈している。新興市場への拡大を現在の価格で行うのを、「規模」と「成長」だけで正当化できるのか疑問だとしている。例えば、ボーダフォンが2003年にインドのBharti Tele-Venturesの株式を1株35ルピアで売却して撤退したが、2005年10月にはBhartiの株式の10%を1株351ルピアで再取得している。サリーン社長が、コア地域の事業の成長が低下するのを補うため新興市場への参入を計画したとしても、これらの高くついた投資の採算性を証明できるのか。トルコのTelslimの取得にボーダフォンは46億ドルを支払ったが、アナリスト達はその正当化に首を傾げているという。

 アフリカ、東ヨーロッパおよびアジアにおける資産買収の競争は、クウェートのモバイル・テレコミュニケーションズ、エジプトのオラスコム(Orascom)およびノルウェーのテレノール(Telenor)などがこれらの地域に多額の投資を行なった結果、過去2年間に激しくなった。また、これらの地域における携帯電話の低い利用金額と普及率にもかかわらず、新興市場においてもVoIPやモバイル・インスタント・メッセージングなどの新技術が移動電話と競争になるだろうから、長期的な潜在成長力は確実ではない、と前掲のダウ・ジョーンズは指摘している。

■ボーダフォン、日本法人を売却

 ボーダフォンは2006年3月17日に日本法人の株式の97.7%をソフトバンクに売却することに踏み切った。売却額は約89億ポンド(1兆8,000億円)で、うち68億ポンドは現金で支払われる。ボーダフォンはそのうち60億ポンド(売却金額の67%)を株主に配分する(1株当たり10ペンス)。この他ボーダフォンは、ソフトバンクの携帯電話子会社(Bidco)に対する優先株の引き受け3,000億円および融資1,000億円を行なう。

 同日付のボーダフォンのニュース・リリース(注1)で、サリーン社長はその売却額について、この取引は「ボーダフォンにとって良い結果を意味し」、「魅力的な価格」だったことを強調している。しかし、「取引を首尾よく早期にまとめることを望んだため、投資ファンド(Cerberus PartnersとProvidence Equity Partners)によるより高値の提案を、サリーン社長は無視したのではないか。」(注2)と書かれている。その記事によれば、投資ファンドの提案は、ソフトバンクのそれよりも17億ドル(2,000億円)高かったという。

(注1)Sale of Vodafone Japan,_6 billion return of cash(News release Vodafone / 17 March 2006)

(注2) Vodafone’s global ambitions got hung up in Japan(The Wall Street Journal / March 18 2006)

 このニュース・リリースで、サリーン社長は取締役会が日本市場からの資本の引き上げを「いくつかの重要な判断基準」に基づいて決定した、と次のように説明している。「経営の最も大きな利点は、強いローカルおよびリージョナルな規模によってもたらされることが次第に明らかになってきた。強いローカル・ポジションを提供する市場のうち、優秀で利益をあげられるところに限って、我々は株主のために投資を行う。日本のケースでは、最近経営改善が進んでいた。しかし、事業の相対的に高い競争のポシション、低下する長期的な収益見通しおよびソフトバンクからの好条件の提案などを勘案して、取締役会は日本事業を売却する決定を行った。(中略)日本における通信およびメディアのリーディング・カンパニーの一つであるソフトバンクと提携関係を続けることを我々は喜んでおり、日本市場の経験から深く学ぶことによって我々は今後も利益を得られだろう。」

  ボーダフォンの日本進出は、通信ビジネスにおけるグローバルなブランド戦略の限界についての警告になった、ローカルな嗜好と市場のダイナミックスが最もタフな冒険者を間違えさせたのだ、と前掲のウオール・ストリート・ジャーナル紙は指摘している。また、このことはボーダフォンとそのトップにとって、新たな成長の機会を探す際の大きな教訓になった。この10年間ボーダフォンは、世界中で同じ携帯電話機を使いブランド・イメージを広げるという大きな「規模」を利用することの利益を説いてきた。しかし、今や同社は、別々の国々で事業を展開するよりも、隣接する市場における成長に集中するようになったのだとも指摘している。
取締役会の内紛や経営幹部の辞任のさなか、ボーダフォン日本法人の売却は、利益増加の圧力の下に あるサリーン社長にも一息つく時間を与えたようだ。この売却に関与したロンドンの匿名の銀行家は、「サリーン社長は、引き継いだ遺産とともに生きることを余儀なくされてきたが、この売却劇で同氏がボーダフォンを本当にコントロールしたことを示した。」と語っている(注)

(注)Vodafone sells Japanese unit to Softbank for _8.9bn(Dow Jones Newswires / 17 March 2006)

 ボーダフォンの海外戦略に関するもう一つの残された課題は米国における資産、つまり45%の株式を保有するベライゾン・ワイヤレスの帰趨である。ボーダフォンは米国市場でブランドを確立できず、ベライゾン・ワイヤレスの持分を売却して、欧州におけるボーダフォン事業と同じGSM技術をベースにしているAT&Tワイヤレスの買収を試みたが、2年前に挫折した。現在、米国にはボーダフォンが獲得したい資産も多くは残っていない。他方、ベルサウスを買収しシンギュラー・ワイヤレスを100%子会社化するAT&Tに対抗するため、ベライゾン・ワイヤレスの支配的株主であるベライゾン・コユニケーションズは、公然とボーダフォンに全持株を売却するよう圧力をかけている。しかし、サリーン社長は、「我々は現在のポシションに満足しており、率直に言って現時点で売却する計画はない。」と語って、少数株主ではあるが当面は成長率の高い米国市場にとどまる意向を明らかにしている(注)。しかし、いずれ売却することになるだろうという見方も根強い。

(注)前掲The Wall Street Journal / March 18 2006

(図表) ボーダフォンの株価の推移(過去1年、ロンドン証券取引所) 最後に、ボーダフォンの株価はどう推移したか。去る2月28日に109ペンスの最安値を記録し同社の株価は、3月27日の終値で124.5ペンスまで、14.2%戻している。事業撤退で株価が回復するというのは、誤った拡大主義に基づく経営戦略を立て直すことに対する市場の期待の現われとしても、皮肉な結果である。

特別研究員 本間 雅雄
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