ホーム > レポート > 世界の移動・パーソナル通信T&S > |
![]() |
<世界のニュース:政策・規制>
FCC、番号ポータビリティの導入状況を公表FCCは2004年5月、ローカル番号ポータビリティ(LNP)に関する導入状況を公表した。LNPは固定及び携帯電話利用者が契約先の電話会社を変更した後にも、既存の電話番号を使えるサービス。1996年通信法で全ての固定電話会社(LEC)がその導入を義務づけられ、携帯電話会社についてもFCCが同様に導入を義務づけている。以下、LNPの現況について概観する。
携帯電話の番号ポータビリティが当初の予想ほど利用されていない原因として、「他社から移ってくるほとんどの携帯電話利用者は番号が変わることを嫌がらない(ウォールストリート・ジャーナル)」ことや、「携帯電話利用者の8割以上が長期契約を結んでいるとされており、契約を解除するには高額の違約金を払わなければならない(ワシントンポスト)」などの理由が挙げられている。また、USフロントライン・ニューズによると、固定や携帯を問わず、実際の移行に際して何日間もサービスが途絶えるといった問題も発生しており、大手携帯電話会社では、ポーティング希望する利用者の約3分の1が待つことにしびれを切らして申込を取り消したという。このため、携帯電話会社各社は、ポーティングには数週間はかかると、利用者に注意を促しているという。
携帯番号ポータビリティに関する最近の大きな動きとしては、2004年5月24日に開始された全米トップ100市場以外での導入が挙げられる。前回2003年秋の導入時には人口比では約70%をカバーする大都市圏が対象であったが、今回はそれ以外の地方都市や農村部が対象となる。今後は都市部や農村部を問わず全米に同じ規則が適用されるが、対象人口が少ないため、前回のような手続き上の混乱は起きないものと見られている。しかしながら、業界団体のCTIAでは新たな導入地域の携帯電話会社は準備が整っているとしながらも、地方の小規模な固定電話会社の間には不安が残っていることを認めている。 米国の携帯番号ポータビリティは、導入後既に期間が経過している英国等のヨーロッパ諸国と比較して利用が進んでいる状況であるが、最も成功したと言われる香港より利用率は圧倒的に少ない。日本でも2006年度の制度導入が予定されているが、米国の事例のように「番号が変ってもかまわない」顧客層の反応や、解約時の違約金負担によっては利用が低調に留まる可能性もあろう。 |
移動パーソナル通信研究グループ リサーチャー 平井 隆夫 |
▲このページのトップへ
|
InfoComニューズレター |
Copyright© 情報通信総合研究所. 当サイト内に掲載されたすべての内容について、無断転載、複製、複写、盗用を禁じます。 InfoComニューズレターを書籍・雑誌等でご紹介いただく場合は、あらかじめ編集室へご連絡ください。 |