2004年4月号(通巻181号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<トレンドレポート>

欧州における第3世代携帯電話の最新動向

 欧州では電気通信事業に対する投資家の評価が上向いてきた。高値での企業買収に走り、第3世代携帯電話事業の電波免許の取得に無謀な投資をして膨大な債務を負い、その後襲ったIT不況によって巨額な損失を計上した欧州の通信事業も、投資や人員の削減、資産の整理促進などによって債務の圧縮にメドがつき、買収・合併した資産の減価にともなう引当も一段落して、ようやく利益を計上できるところまで回復を遂げた。株価も昨年10月頃から上昇傾向に転じている。しかし、依然として固定通信事業の売上げの減少が続き、好調だった移動通信事業でも成長の頭打ちと競争の激化に直面している。それでも、景気循環の影響をあまり受けない通信事業には、業績の回復と携帯電話によるビデオ通信の実現が間近だとする期待が高まっており、投資家は強気にでている(注)。このような状況の中で慎重な態度を崩さなかった欧州の通信会社にも、第3世代携帯電話を中心とする新市場の対応に積極的な動きがでてきた。以下に、欧州における移動通信事業の動向をレポートする。

(注)Telecoms entice investors as they ring the change(Financial Times / March 17,2004)

■「やる気十分、されど3G丸は出航せず」

 2月に南仏のカンヌで開催された3GSMワールド・コングレスの出席者は、昨年より12%増加したという。主催したGSM協会は、その会期中に10億番目のGSM加入者(世界の2003年末携帯電話の総数は13億強)を祝うなど、明るい話題に溢れていた。いつもは冷静なノキアのオリラ社長も3GSMで、「2004年は、ここ数年間で最もエキサイティングな年になるだろう。2004年における最も重要な進展は第3世代携帯電話(3G)の商用化である。3Gは多くの新しい機会をもたらす推進役となるだろう。」と語っている(注)

(注)High spirits but 3G ship is yet to sail(Financial Times / February 17,2004)

 2001年、2002年と減少してきた世界の携帯電話端末出荷台数は2003年に増加に転じ、この増勢は2004年も続くと見られている。開発途上国とくに中国における携帯電話の増加は目覚しく、2008年までに世界の携帯電話加入数の25%を占めるとみられている。また、携帯端末からのデータ通信が急増し、カメラ付き携帯電話も好調に伸びている。このことは、端末1台当りの収入(ARPU)を増加させられるという期待を移動通信会社に与え、スマートフォンの普及によって端末価格の低下に歯止めを掛けられるという期待をメーカーに与えたようだ。3GSMの会場に久し振りに活気が戻ってき、と前掲のフィナンシャル・タイムズは書いている。

 GSMの第3世代標準であるW−CDMAを最初に導入したNTTドコモの3G加入数が2003年末で190万になった、と報じられたことも明るい材料になったようだ。「画像(イメージング)は今日最も成功した(携帯電話の)アプリケーションである。」とノキアのオリラ社長は語っている。同社の「Nokia 6600」カメラフォンは世界のベストセラーになり、昨年10月に発売以来現在まで200万台を売ったという。しかし市場のリーダーである同社は、急激に需要が拡大しているスマートフォン分野で、他のメーカーとの競争のほかソフトウエアの巨人であるマイクロソフトの挑戦に直面している。

 スマートフォンのOSとしては、PCで圧倒的なシェアを占めるマイクロソフトのウィンドウズ・モ バイルか、ノキアの支持するシンビアンのいずれが市場を支配するかに関心が集まっている。ノキアが3GSMで同社の「コミュニケーター」製品(注1)の開発で、マイクロソフトの競争相手であるIBMと提携すると発表すると、マイクロソフトもモトローラと提携して開発した新スマートフォンをリリースするなど、両社間の競争は一層激しくなっている(注2)。また、将来ノキアが供給する「ボーダフォン・ライブ!」対応の3G端末を、ノキア・ブランドではなくボーダフォン・ブランドとして認めるか否かのブランドに関する争いが両社間に起きている。

(注1)キーボード機能を内蔵したスマートフォン

(注2) Microsoft move into cellphones worries some in telecom(online.wsj.com / March 25,2004)

(表)スマートフォンのOS(2003年出荷)

 ボーダフォンのサーリンCEOは、同社が将来採用を予定しているノキアの3G端末について、それらはオーバーヒートし、かさ張り、バッテリーの容量が不足していると強く批判した。3Gの品質に関する疑念はカンヌの水平線に浮かぶ雲である(会期中カンヌ周辺は天気が悪かった)と前掲のフィナンシャル・タイムズは書いている。ノキアのオリラ会長は「プッシュ・ツー・トーク」(SMSもしくはインスタント・メッセ−ジングの音声バージョン)の導入を発表し好評だった。将来(2005年以降)この機能はすべての端末(GPRSおよび3G)に標準装備する方針だと彼は語っている。しかし、顧客に受け容れられる3G端末が、果して今年第4四半期(26の3Gネットワークが開通予定)までに大量に供給されるのか、業界は息を潜めて待っているという。

 英国に本拠を置くmmO2は、3Gは2005年まで実現しないだろうという見通しを明らかにし、ブルートゥースとWiMAXの能力についても疑問を呈している。携帯電話会社は、すでに3Gのネットワークの構築を終え、サービス提供の準備も整っているのに、対応する携帯電話機がなければ、注ぎ込んだ多額の投資を回収できないとして、かなりの欲求不満に陥っているという。欧州の携帯電話会社にとっては、船は既に港に係留されているのに未だに出航できない状況だ、と前掲のフィナンシャル・タイムズは書いている。

■無視できない3Gと代替技術の競合

 同じカンヌの3GSMを報じている記事でも、ビジネスウイーク(BW)(注)のそれは一味違っている。モバイル・ネットワークの注文と携帯電話端末の販売が増勢に転じ、債務減少とダウンロードできるゲームなどの新収入源の登場で携帯電話会社も潤い、今年は3Gサービスが広く欧州に導入されるだろう、という認識は共通である。しかし、目前に迫った3Gの導入に安心して、かつて1,200 億ドルの周波数免許料を支払い、その結果として直面した財務危機や資産価値の毀損、技術上の不具合などによって3Gの導入が2年も遅れたことを、欧州の業界はほとんど忘れたかのようだと同誌は書いている。フランス・テレコムのブルトンCEOは、これらは「すべて過去のことになった。」と楽観論を語ったという。

(注)Why 3G may still come up short(BusinessWeek / March 22,2004)

 しかし、欧州が複雑で高価な3Gの技術を創案し育てる一方で、技術者はデータを無線で送るため、もっと低廉で柔軟性のある多くの代替技術を考え出した。そのなかの一つであるWi−Fiはすでに人気になっており、無線ブロードバンド市場をもはや3Gだけで独り占めにすることは出来ない、これが無線通信についての根源的なバトルだと前掲のBW誌は書いている。

 3Gのような伝統的セルラー技術は、エリクソンやノキアのような巨大企業が、標準化に関する長い間のお金のかかるエンジニアリングと交渉を通じて開発した。長い間欧州の「王冠の技術の宝石」だったこれらのシステムは、規制された周波数で運用され、国内隅々まで普及させるため巨額の投資が必要だった。一方、Wi−Fiやより高速で長距離を伝送できるWiMax(注)などは、それらの多くが非規制かつ草の根のアプローチによって開発された。これらのシステムの多くは米国発の技術であり、テレコムの旧い秩序をひっくり返すことを狙ったインテルなどのサポートで開発が進んだ。また、その多くは通信の標準ではなく、廉価なインターネットの技術で構築される。しかも、これらのシステムは誰でも、ホテル・チェーンなどでさえも、正確に顧客の需要に沿って展開できた、とBW誌は指摘している。

(注)WiMAX(IEEE802.16) 半径50kmの通信が可能。本来、固定無線データ通信として標準化された技術であるが、将来はVoice over WiMAXやMobile WiMAXが登場するだろうという。商用化は2006〜7年頃と見られている。

 これらの新規参入者が3G事業者を葬り去ると予測する人はいない。しかし、3G事業者の無線データ収入の一部を吸いとることによって、3Gのビジネス・モデルを危うくするかもしれない。3Gのセールス・ポイントはデータであり、もしも顧客がWiMaxのような代替技術に群がれば、期待していた3Gの収益は消滅するかもしれない。BW誌が引用したフォレスター・リサーチの調査によると、欧州で2006年にWi−Fiを実際に利用するユーザーは2,060万、WiMaxのそれは83万と予測している。これに対し3Gは2,120万である。すくなくともこれらの新技術は移動通信における欧州の優位を危うくするかもしれない、とBW誌は警告している。

 幾つかの企業はこれらの脅威に対応しようとしている。例えば、ノキアの最新版の「コミュニケーター9500」電話/オーガナイザー・ハイブリッドは、Wi−Fiとモバイル・ネットワークの両方で動く。将来3Gを提供する計画を持つスイスコム・モバイルは、既に欧州最大のWi−Fiのホット・スポット・オペレーター(1,500ヵ所)である。しかし、それ以外の通信会社は重要な教訓を忘れているように思う、とBW誌は書いている。インターネットの爆発的な普及からベータマックスに対するVHSの勝利に至るまで、低コストのダークホース技術がしばしば洗練された先行技術を、大きな柔軟性、素早い改善、急増する需要への対応などで打ち負かした。新しいインターネット・ベースの無線システムはこれらの特質を共有している。欧州のテレコムのリーダーはこの警告を心に留め、すべてのタイプの無線技術(3Gだけではない)でリードしなければならない。そうでなければ彼らの グローバルな優位は消滅する危険に曝される、と前掲のBW誌は指摘している。

■欧州の3GはPCカードが先行

 このような先行き不透明な状況に対応するため、欧州の携帯電話会社はどのような戦略で臨もうとしているのだろうか。以下に掲帯電話事業大手の最近の動向を紹介する。総じてマス市場向けサービスについては慎重に需要動向を見極めたい意向が強いようだ。MMSを実現する端末とアプリケーションが期待通り供給されるかに不安があるからだ。そのため、既に構築した3Gネットワークを活用して、ビジネス市場にPCカードで先行して参入する事業者が多数派を占め、マス市場を含む3Gの本格的展開は遅れそうだ。

 最大手のボーダフォン・グループは去る2月12日から3G対応のモバイル・データ・サービスを開始した。しかし、このサービス開始は「電話機なき発進(phoneless launch)」といわれるように、3G対応のラップトップPC用のカード(ボーダフォン・モバイルコネクト3G/GPRSカード)によるものだった。ボーダフォン・ジャーマニーのCEOはセビット(CeBIT:3月中旬独北西部のハノーバで開催された技術見本市)で「大きさ、バッテリーの待受け時間、信頼性に関してかなりの品質レベルに達しない限り、ボーダフォンは市場に3G携帯電話機を投入しない方針だ。他の携帯電話会社が何をしようと我々は気にしない。」と語っいる。しかし「現在急ピッチで製品改良が進められており、今年の上半期には1〜2機種が、秋にはさらに何機種かが投入されるだろうから、今年のクリスマスが3G商戦の最初のピークとなるだろう。」と楽観論を述べている(注)。同社はこれまで約300都市に3Gネットワークを展開し、今年末までに約2,000都市に拡大する計画である。「モバイルコネクト3G/GPRS」カードの売れ行きは「好調」と答えたが、具体的な販売数は明らかにしていない。また、現在テスト中の「プッシュ・ツー・トーク」サービスを現機種に装備するため、シーメンス、モトローラ、ソニー・エリクソンと提携することを明らかにした。

(注)Vodafone says 3G phones still too poor,too few(totaltele.com /Reuters 18 March,2004)「モバイルコネクト3G/GPRS」については本ニューズレター2004年3月号(通巻180号)参照 

 欧州第2位のT−モバイルの3Gに対する考え方はボーダフォンのそれと異なっている。同社のCEOがセビット(CeBIT)で明らかにしたところでは(注)、今年5月からドイツ、英国とオーストリアの3国で3Gサービスを開始し、音楽や写真を伝送できる3G電話機とラップトップPC用カードを、サービス開始後数カ月で数万台販売したい、ドイツでは3Gの導入で1加入当り月額売上げ(ARPU)を5ユーロ増やすことを目標にしているという。さらに同社は、3Gを含む新サービスを「T−モバイル・マルチメディア」もしくは「TM3」と呼び、顧客との対話に3G、GPRS、WAP、GSMといった言葉を使うことを意図的に避けて、この一般的な言葉にすべてを結びつけていきたい、と語っている。5月に発売される予定の3G電話機はノキア、モトローラとサムスンが供給する。また、既に同社が展開するWi−Fiを同社のモバイル・ネットワークが取り込み、これらすべてのサービスを統合するユニークな第一歩を踏み出した、と強調している。

(注)T-Mobile to launch 3G in May (totaltele.com / Reuters,18 March 2004)T−モバイルの3GとWi-Fiの統合については本ニューズレター記事「T−モバイル、UMTSと Wi-Fiを統合展開」参照

 mmO2は、この4月からドイツで3Gネットワークのサービスを開始する予定だが、まずラップトップPCで利用する3Gデータ・カードの販売から始める。PCカードは3Gネットワークで最高384Kbps、GPRSネットワークで最高53.6Kbpsのデータ通信ができ、電子メール、ウェブ接続のほか企業内ネットワークに対するセキュアーな接続サービスを提供する。また、同社の3G加入者は、ネットワークの共用協定によってT−モバイルの3Gネットワークを利用することができるので、ドイツにおける人口比4割の地域をカバーする。さらに、ドイツ国内400カ所に及ぶWi−Fiのホットスポットを利用することも出来る。同社はセビット(CeBIT)で同社が販売する最初の携帯電話機「Nokia 7600」を展示したが、この電話機の販売開始は今年の第2四半期とみられている。また、利用者が自宅の500メートル以内から携帯電話を利用した場合は、特別に割安な料金を適用し、固定通信からの代替と3Gの販売促進を狙った料金構想を発表して注目された。課金方法も顧客の希望によって、時間課金かデータ量課金かを選択できるようにするという(注)

(注)O2 Germany urges consumers to replace landlines with UMTS(totaltele.com / 17 March,2004)

 オランダのKPNのドイツにおける子会社E−プルスは、今年6月から3Gサービスを開始するとセビット(CeBIT)で発表した。最初はラップトップPC向けの3G/GPRSデュアル・バンド・カードを提供する。7月には親会社のKPNがオランダでも3Gデータ・カードを導入する。同社によると、今年はビジネス市場におけるPCカードのアプリケーションに注力し、8月頃にはiモード・ブランドの一般利用者向け3Gサービスをドイツとオランダで導入する。ドイツでは20のコンテント・パートナーが、気象情報、フットボール・ハイライトやファッション情報などを提供する予定だ。3G端末にはソニー・エリクソンのZ1010を予定しているが、KPNはNTTドコモと提携して欧州向け新端末の開発を進めている。なお、ベルギー子会社のベースは2005〜6年までは3Gの導入を行わない(注)

(注)E-Plus to launch UMTS data cards in June(totaltele.com / 17 March,2004)

 フランス・テレコムのブルトンCEOはセビット(CeBIT)の会見で、携帯電話子会社オレンジが今年後半にも3Gサービスをフランスの3分の1と英国の60%(いずれも人口比)で開始すると発表し、「今年はブロードバンドの年、3Gは顧客の望むサービスだからこそ取り組む価値がある」と語った(注)。なお、フランス政府は、GMS免許料として今後15年間一事業者につき年2,500万ユーロと売上高の1%を課す(負担増になる)とともに過疎的地域へのサービスの拡大とSMSの厳しい値下げを求めているという。また、3Gについても売上高の1%を免許料として納付することが決まった。

(注)欧州の携帯「3G事情」(電波新聞 2004年3月9日)

 テレコム・イタリア・モビレ(TIM)は、携帯電話機が十分に確保できれば、マス市場向け3Gサービスを今年の12月に開始する予定である。それに先立って同社は、この4月から現在のGMS/GPRS網にEDGEを追加して、300万を超えるMMS利用者に約200kbpsのサービスを提供する。構築中の3G網の人口カバー率は既に90%を超え夏には免許の条件を充たす見込みだが、TIMは過疎的地域においてEDGEが3Gの補完的役割を担うことを期待している。EDGE端末は4月から提供されるが、将来EDGE/3Gのデュアルモード端末「TIM TURBO」の販売を計画している(注)

(注) Italy’s TIM to launch EDGE in April(totaltele.com / 26 March 2004)

 香港のコングロマリット、ハチソン・ワンポアは子会社の3G携帯電話事業(英国、イタリア、香港など)で2003年に1,240億ドルの損失を出した。(それでも同社は1,840億ドルの利益を計上した)ハチソン3G UKは、2003年末100万加入の目標に対して、僅か21万の加入者にとどまった。しかし、最近販売する端末(特にノキア7600)が出回るようになり、プリペイド事業を追加したことから、加入数(2月末)は36万に増加したという。2003年末の同社の全世界における3G加入数は101万だった。2004年の3G事業の損失は2003年のそれを上回る見通しだが、2005年には単年度収支の均衡が見込まれるという(注)

(注)Smaller handsets accelerate 3’s growth(financialtimes.com / March 19,2004)

 同社は最近、世界各地で展開する通信事業を分離(欧州やオーストラリアの3G事業は本体に残す)し、その統括会社を香港で上場すると発表した。好調な香港やインドの2G事業を含む通信事業を分離し、その上場益で3Gの赤字相殺を狙ったものと見られる。

 北欧の通信大手テリアソネラはソニーと提携して、携帯電話ユーザー向けにストリーミング方式の音楽配信事業を4月から始めると表明した。ソニーは6月からインターネット経由で音楽をダウンロードするサービス「コネクト」を英独仏で開始する計画である。

 欧州市場で圧倒的な力を持つボーダフォンに対抗するため、その他の携帯電話会社による二つの提携が形成されている。一つは、スターマップ(Starmap)・モバイル・アライアンスで、mmO2、ワン(オーストリア)、ウインド(伊)、アメナ(西)、テレノール・モバイル(ノルウェイ)、パノンGSM(ハンガリー)が参加し去る2月に発足した。もう一つは、T−モバイル、テレコム・イタリア・モビレ、オレンジ、テレフォニカ・モビレスの大手4社による提携で、2003年に発足した。この後者のアライアンスが、4社の欧州21地域(加入数1億7,000万)において、その統一ブランド・ネーム「フリームーブ(FreeMove)」のもとで国際ローミングなどのマルチナショナル事業のサービスと料金を統一し、国際ローミング料金を引き下げ、端末の共同購買に取り組むなど今後3年間の計画を発表した。将来、欧州域外および3Gでも同様の活動を行うとしている(注)

(注)Mobile operators unveil FreeMove alliance(totaltele.com / 29 March 2004)

 最後に米国携帯電話事業第1位のベライゾン・ワイヤレスの定額制データ通信・サービスを紹介する。同社は米国で最初の本格的3Gネットワーク(CDMA 1x EV−DO)をワシントンD.C.とサンディエゴ地区に導入(年末には人口比30%に拡大の予定、その後の計画は未定)したが、「ブロードバンド・アクセス」はこの3Gネットワークに対応するサービスである。利用にはPCカードの購入(割引価格で150ドル)が必要だが、月額利用料金80ドルで無制限のデータ通信が利用できる。(音声利用は不可)アクセス速度(下り)は最高2.4Mbps、平均300〜500kbpsで、3Gサービスの域外ではCDMA 1x RTTで提供さている定額制データ通信サービス「ナショナル・アクセス」(最高速度144kbps、平均40〜50kbps)がデュアル・モードで利用できる。欧州のW−CDMAによるデータ・サービス(最高384kbps)よりかなり高速だが、DSLの2倍の料金では需要は限定的とみられている。

(注)KDDIの1x EV−DOを利用するPCカード(14,800円)によるデータ通信サービス「DOカード」は、基本料(1,500円)プラス定額料(7,500円)合計9,000円の場合で50万パケットまで利用でき、超過利用分は1パケット毎に0.05円である。

特別研究員 本間 雅雄
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