2004年2月号(通巻179号)
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世界の移動・パーソナル通信T&S
<世界のニュース:市場・企業>

韓国、番号ポータビリティー導入でマーケティングが過熱

 韓国では、2004年1月1日より携帯電話における番号ポータビリティー・サービスが導入された。もとより事業者間競争が激しい韓国にあって、番号ポータビリティー導入のインパクトが競争を加速させることにつながったが、いささか過熱気味のようである。

■番号のポート処理は即日完了、手数料は約100円

 韓国での番号ポータビリティーは、非対称の形で導入された。まず最初に加入者シェアで約半数を握るSKテレコムの加入者が、他社へ移行することができるようになった。よって、現在のところ制度導入の恩恵を受けるのはSKテレコムのユーザーと、KTFおよびLGテレコムの2社ということになる。

 ユーザーにかかる費用は、移行時の手数料が1,000ウォン(約100円)となっており、移行前の電話番号を利用するために毎月継続して支払う料金はない。ただし、移行先の通信事業者への加入費がかかり、KTF・LGテレコムの場合は30,000ウォン(約3,000円)である。そして移行後3ヵ月間は、再移行をすることができない。ユーザーは、携帯電話事業者のショップに直接足を運んで番号移行を申請すれば、30分から1時間程度で処理が完了する模様である。

 激しいマーケティング合戦から料金競争に発展。KTF・LGTの導入時が注目
携帯電話事業者各社は、テレビCMや新聞広告などで宣伝合戦を繰り広げているが、顧客獲得競争は広告にとどまらず、料金競争に発展している。KTF・LGテレコムの両社は1月中旬、ともに月額定額で音声通話が使い放題となる料金プランを発表(LGテレコムの場合、月額95,000ウォン。ただし2004年7月31日までの期間限定)し、SKテレコムの既存ユーザーに対し自社への移行を訴えた。また、通常10万ウォンで販売されている携帯電話機が無料で提供されるなど、その影響は端末価格にまで及んだ。2003年末までに約13,000ユーザーが移行を予約していたが、導入後も移行ペースは衰えず、1月中旬までで約15万のSKテレコム・ユーザーが他社に移行し、うち約6割はKTFへ移行したとされている。
こうした流れは、シェアで2社に水をあけられているLGテレコム(約500万加入:2003年9月末現在)にとっては、顧客獲得の千載一遇のチャンスと見られているが、LGテレコムに乗り換えたユーザーからはサービス面での苦情も発生している模様である。

 いずれにせよ、SKテレコムは約1,800万加入の自社ユーザーのうち、おそらく1%以上を1ヵ月に満たない短期間に失うことになったと思われる。しかし、いずれKTF・LGテレコムからのポート・アウトも可能になった際には、料金面の魅力だけでなく、現在以上にサービス品質が問われることになるだろう。その際には、SKテレコムが必ずしも加入者を失うばかりでない状況も十分ありえるだろう。

移動パーソナル通信研究グループ
チーフ・リサーチャー 岸田 重行

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