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米WAVE・USA、米国のWAP端末による日本語の入出力を可能に

 米国ボストンにおいて企画・開発コンサルティングおよび留学カウンセリングサービスを営むWAVE・USA社(Worldwide Academic & Vocational Exchange USA, Inc.)は、米国内のWAP対応携帯電話による日本語の入出力を可能とする同国初のサービス「ジェイ・ワッピ−(J.WAPPY)」を年内(2001年中)に開始する。これまで米国のWAP端末に日本語を表示させることは不可能であったが、同サービスを利用することにより、日本語で電子メールを送受信したり日本語のウェブサイトを見ることが可能となる。

 米国で利用されている携帯電話には、当然ながら日本語を「文字」として表示する機能は具備されていない。また、それ以前の問題として、端末のメモリー内に日本語のフォント(漢字を含む)を格納することを考慮すると、端末のメモリーが絶対的に不足しているという問題もある。そこで、在米日本人に対する情報提供サービスを生業の一部としている同社が採用したソリューションは、新たに開発した「WAPゲートウェイ・サーバー」を同社内に設け、そのゲートウェイ上において独自の「文字コード翻訳ソフトウェア」を用いて日本語文字コードを画像変換(フォント・データを画像情報に変換)し、携帯電話のディスプレイに表示する方式である。このゲートウェイを経由することにより、すべてのWAP端末で日本語を表示することが可能となる。また、日本語の入力については、端末で入力したローマ字をゲートウェイ上で日本語に変換することとなる。

 同社がJ.WAPPYサービスの主たるターゲットとしているのは、留学生や出張者など、日本からの短期滞在者であり、同社自身、WAP端末でアクセス可能な日本人向けのコンテンツ・サービスも提供する。そのジャンルは、日米の一般ニュースや芸能ニュース、医療や事件・事故など緊急を要する情報、銀行・郵便、不動産などの生活情報、タウン情報、求人情報など多岐に渡るものとなる。

 同サービスを利用するには、WAVE・USAから携帯電話を購入するか、あるいは既にWAP対応の携帯電話を保有している場合は20ドルのJ.WAPPYセットアップ料金を添えて申し込む必要がある。また、同サービスの月額基本料あるいは利用料金は無料となっている。(但し通信料についてはオペレータに支払う必要がある)

 また、同サービスの利用者に対してはメール・アカウントが配布され、日本語英語両方で150文字までの電子メールが送受信可能となる。

 前述の通り、同サービスは米国のすべてのWAP端末で利用可能ではあるが、同社としては「機能および日本語表示スピードの関係でスプリントPCSを推奨している」とのこと。現在のところ、サムスン製、三洋製、京セラ製の計8機種の端末が推奨されており、料金は150〜500ドルとなっている。

 日本人が米国に滞在し、一時的に携帯電話を利用することを考える場合、レンタルの携帯電話を利用したり、NTTドコモやauなどの海外ローミング・サービスを利用する選択肢が存在するが、そのどれを見ても通話料金が非常に高額(米国内の発信で1分あたり300円程度)であり、なおかつ日本語でのウェブ閲覧およびメール送受信が不可能である。一方、WAP対応のプリペイド端末を購入し、J.WAPPYサービスを利用すれば、日本語でのウェブ閲覧およびメール送受信が可能となるばかりか、通話料金も比較にならない程安価(バンドル分を超過しても1分あたり48円程度)である。WAVE・USAとしてはこの点を強く訴求しており、「学生の方々でも安心して使える範囲の料金プラン」との宣伝文句を用いている。

 現在同社は、ウェブ上でJ.WAPPYのサービス開始予定をアナウンスするとともに、ユーザーを募集し、併せてコンテンツ・?パーパートナー、端末販売パートナーを募集している。今後、日本国内に販売拠点を設けてユーザー獲得を目指す計画である。

 なお、同社がターゲットとしている顧客層である米国に短期滞在する日本人であるが、最新の統計によると、日本から渡米している年間480万人のうち、約9割を3ヶ月未満の滞在者が占めるとのこと。これらの潜在市場をどこまで開拓できるかが興味深いところである。



木鋪久靖(入稿:2001.12)
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