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> 2001年2月号(通巻143号)
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欧州で普及するSMSとそのサービス提供状況 |
欧州ではWAPサービスの普及の遅れが指摘される中、SMSの利用は相変わらず好調である。GSMアソシエーションによると、2000年8月には全世界で90億回のSMS送信があり、ドイツでは既にこの時点で10億回を超えるSMS送信があったとのことである。また、英国のモバイル・データ・アソシエーション(MDA)によると、2000年11月の1ヵ月間における英国内でのSMS送信回数(情報サービスの配信等を除く)は、対前年同期比293%増の6億7,300万回に達している。さらに、北欧のスウェーデンでは、2000年上半期だけで1億6,000万回のSMSが送信され、既に1999年1年間の総送信回数1億4,000万回を超えるなど、欧州GSM圏全体に渡ってSMSの普及が著しい。 このようなSMSの普及を背景に、SMSを利用したサービス開発も積極的に行われており、昨今のSMSブームを少なからず後押しする役割を担ってきた。そこで、ここでは欧州で提供されているSMSを利用した特徴的なサービスについていくつか紹介する。
1.情報サービス
また、各事業者は情報サービスの利用を促進するために、情報サービスの利用料を通常のSMS送信料と同額にするなどの他、期間を設定して料金を半額程度にする(BTセルネット)、1カ月間試供する(T-モビル)、SMSによるリクエスト以外の情報配信を無料にする(テリア)など様々な施策を展開している。さらに、サービスそのものを工夫し利用促進を図っている事例も見られる。例えば、コムビックは情報サービスの番組メニューを非常に充実させているのに加え、SMSによる参加型のエンタテイメント系情報サービスにおいて優秀な成績を修めたユーザーに対し、携帯電話料金の支払いに充当できるポイントを付与している。また、マンネスマンでは、ユーザー自らがSMSによる情報配信番組を開設し、他のユーザーからの情報リクエストがあるたびにコミッションを獲得できる「D2-パブリッシャー」を提供している。開設した番組は、マンネスマンの番組リストに公開することも可能であり、一般ユーザーはマンネスマンのウェブサイトで番組の検索やアウトラインの閲覧が可能である。
2.アラート・サービス
3.ダウンロード・サービス
4.コマース/バンキング・サービス
5.その他のサービス このように、欧州ではSMSを利用したバラエティに富んだサービスが数多く提供されている。各国の事業者がSMSのサービス開発に注力する最大の理由は、SMSが収益の拡大に大きく貢献しているからに他ならない。スウェーデンの郵電庁によれば、SMSは同国の全携帯電話サービス収入の4%に当たる2億8,000万クローネ(約32億5,000万円/1クローネ=11.6円)を稼ぎ出している。また、ノルウェーのテレノールでは、非SMSユーザーのARPUが23米ドルであるのに対し、SMSユーザーのそれは34米ドルと明らかに高いという。これとは対照的に、欧州各国においてWAPサービスは事業者の収益に貢献するには到底至っておらず、サービス開発もこれからという状況にある。従って現状では、WAPだけではなくSMSからのアクセスも同時に実現することが、モバイル・ポータルとして選定される重要な評価要素の1つになっているようだ。
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高田博樹(入稿:2001.2) |
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