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2014年8月12日掲載 |
Nokiaを傘下にしたマイクロソフトは、ウルトラ・ローコスト端末「Nokia 130」を19ユーロ(約25ドル)で発売すると発表した(※1)。 音楽や動画の再生機能を搭載しているものの、非常にシンプルな、いわゆるフィーチャーフォンである。2014年第3詩四半期に出荷する予定で、中国、エジプト、インド、インドネシア、ケニア、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、ベトナムなどの新興国向けと報じられている。新興国の市場ニーズに合わせてデュアルSIM対応になっている。 とはいえ、これらの新興国でも中間層の急速は拡大によって、もはやフィーチャーフォンの新製品はほとんど売れない。25ドルなら、新品のフィーチャーフォンよりも、中古のスマートフォンの方が人気は高い。25ドルは日本人の感覚なら、1回の飲み会またはTシャツ1枚程度であろうが、1回の食事が50円〜100円の新興国の人々にとって25ドル(約2,500円)の買い物は慎重になる。 中古のスマートフォンよりも、優れているのは、バッテリーの持ち時間くらいだが、スマートフォンの性能も向上しているため、その優位性も時間の問題である。 2013年1年間で、Nokiaはそれでも2億5,100万台の携帯電話を出荷している。2012年と比較すると26.5%も減少しているが、それでもまだサムスンに次いで2位だった(※2)。 苦悩するマイクロソフトの携帯電話事業2014年4月からNokiaはマイクロソフトの傘下に入った(※3)。それに伴い、Nokiaから 当初、マイクロソフトはNokiaのブランド力、開発力、チャネルを活用して「Windows Phone」の展開を期待していたが、AndroidとiOSが市場シェアの90%以上を占めている現在、スマートフォンでマイクロソフト(Nokia)が市場シェアを挽回することは難しいであろう。そのためマイクロソフト(Nokia)としては当面は新興国でフィーチャーフォンを販売していくことが優先されるであろう。 一方でローコスト端末は薄利多売である。そして新興国の地場メーカーの多くがスマートフォンを開発、販売するようになり、近いうちに、ローコスト端末はNokiaの独壇場になるかもしれない。そうなると、マイクロソフトではそれほど多くの従業員を抱える必要がなくなってくる。Nokia買収完了後、マイクロソフトの事業および人員整理に関する報道は後を絶たない(※5)。 これから先、マイクロソフトの携帯電話事業およびNokiaはどうなっていくのだろうか。ここ1年が勝負であろう。 (参考) 【参考動画】 ※1 Nokiahttp://conversations.nokia.com/2014/08/11/nokia-130/ ※2 IDC(2014) 27 Jan 2014, “Worldwide Smartphone Shipments Top One Billion Units for the First Time, According to IDC” ※3 Microsoft(2014) 25 Apr, 2014, “Microsoft officially welcomes the Nokia Devices and Services business” ※4 Microsoft(2014) 22 Jul 2014, “Earnings Release FY14 Q4” ※5 例えば、Bloomberg(2014) 16, Jul 2014, “Microsoft to Announce Job Cuts as Soon as This Week” こちらも併せてご覧ください。(最新レポート5件) |
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