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Global Perspective 2014
2014年7月29日掲載

AT&Tが1993年に予想した未来"You Will"広告と現在

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁
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アメリカの通信事業者AT&Tが1993年から1994年にかけて放送したテレビ広告”You Will” シリーズがある。これはAT&Tが近未来の予想をした内容を映像で表現している。今から20年前、まだ一般の人々が携帯電話やインターネットを利用することがなかった時代の未来予想図である。

まずは、AT&Tが予想した未来に関して7本の広告動画を掲載するので、ご覧頂きたい。

【参考動画】

AT&Tが予想した未来の世界“You Will”広告

そこでは以下のような1993年に考えられていた近未来のシーンが放映される。

  1. 図書館にある大画面スクリーンで、電子書籍を読んでいる。今でこそ電子書籍はタブレットで読むのは当たり前になっている。
  2. 車を目的地まで止まることなくナビしてくれる。今ではカーナビが搭載されていない自動車の方が少ないかもしれない。
  3. ビーチからタブレットで、FAXを送信する。電子メールでなくFAXというのが電話会社らしい。
  4. 高速道路の料金をクレジットカードで支払ってくれるので、料金回収所で、スピードを落とす必要がない。いわゆるETCである。
  5. コンサートチケットをキャッシュマシンで座席も選べて、購入が可能となる。今となってはキャッシュマシンでなくスマートフォンでも可能である。
  6. テレビ電話で自宅にいる子供と対面できる。公衆電話がテレビ電話対応しており、そこから電話している。
  7. 音声認識でドアが自動で開く。IoTである。
  8. 医療現場における電子機器の発展。
  9. バカンス中でも、パソコンから様々な情報が送られてくる。
  10. 学校で画面の向こうに先生がいて、インタラクティブに授業が行われる。
  11. スーパーマーケットで買った商品を自動で計算してくれる。支払もカードですぐにできる。それでもスーパーマーケットの店員がいるのは、完全な自動化を信用していないのだろうか?
  12. 遠隔医療での診察。
  13. 大自然の中でも携帯電話が通じて、会話ができる。今では当たり前の光景である。当時、誰もが携帯電話を持って、このような大自然の中でも会話ができるとは思ってもいなかったのだろう。
  14. 世界中の子供らが、画面を通して言葉がわからなくても会話ができる。
  15. 世界中の人と、言葉が通じなくてもビジネスができる。
  16. 外出先から、タブレットで家の電気をつけたり、戸締りしたりできる。スマートホームやIoTである。
  17. キャッシングマシンで、自動車免許の発行ができる。
  18. 自動車の修理指導が遠隔でできる。
  19. コンピュータに住んでいるペットが、スケジュールを教えてくれる。

20年前の未来予想を見てみると、当時は夢のような社会だったことが、着実に実現されていることがわかる。時代は進化している。これから先20年後にはどのような社会になっているのだろうか。

今見返してみると興味深い。現代社会においては当然になってしまったようなシーンもたくさんある。また、バカンス中からタブレットで「FAXを送る」(電子メールではない)のは、電話会社らしい発想である。

ちょうどこの広告が放映されていた頃、私はアメリカにいたのだが、この広告は全く記憶にない。たしかにインターネットも携帯電話もなかったが、それでも生活はできたし、学校にも行っていた。現在、あの頃と同じような生活に戻れるかというともう戻れない。

なお、当時のAT&Tの主力サービスは音声通話の電話である。消費者向けのテレビ広告も電話料金の安さと音声の品質を追求したものであった。

【参考動画】

AT&Tの1993年のテレビCM(電話の料金について)
当時まだAT&Tは電話会社だったことが伺える。

AT&Tの1994年のテレビCM(音声品質について)

*本情報は2014年7月28日時点のものである。

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