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Global Perspective 2014
2014年5月19日掲載

ジンバブエ:データ通信の23%が「WhatsApp」〜アフリカで変わるコミュニケーションのプラットフォーム

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁
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アフリカ南部に人口約1,300万人の国ジンバブエがある。携帯電話の加入者は約1,430万(普及率約110%)である。880万の加入者を持つジンバブエ1位の通信事業者Econetのデータ通信量のうち23%がメッセンジャーアプリ「WhatsApp」であることがわかった(※1)。

Econetでは2014年2月から「WhatsApp」利用のデータ通信料金プランの提供を開始した。1日の利用で30セント、1週間95セント、1か月3ドルの3種類の料金プランを提供している。これによって「WhatsApp」の利用者が急増し、同社のデータ通信量の23%を「WhatsApp」の利用で占めるに至った。

Econetの加入者880万のうち、3G利用者は240万程度で3割弱である。つまり「WhatsApp」の利用も2G(GSM)で利用している人が多数いるということである。もっともメッセージ(テキスト)のやり取りを主流で行っているので、2G(GSM)であっても問題はほとんどない。

従来、ジンバブエだけでなくアフリカや新興国では携帯電話によるコミュニケーションの手段は音声電話とSMS(ショートメッセージ)であったが、スマートフォンの急速な拡大と並行して、メッセンジャーアプリへと移行してきた。アフリカで人気があるメッセンジャーアプリは先日Facebookに買収された「WhatsApp」と中国系の「WeChat」である。

携帯電話事業者の収入も今後はSMS(ショートメッセージ)や音声通話に依拠するのではなく、メッセンジャーアプリを利用してもらうための料金プランの提供に変更が進んでいくことだろう。かつてのように「SMSが20通まで無料」「無料通話が30分ついている」というキャンペーンの時代ではなくなっていくだろう。

アフリカのような途上国でもスマートフォンが浸透してきている。中国のグローバルメーカーHuaweiも世界最薄スマートフォン「Ascend P6」を提供しているほか、アフリカ諸国のメーカーや中古のスマートフォンが大量に流通している。このようにメッセンジャーアプリが受容される土壌は整っている。

今後もますますメッセンジャーアプリの利用は拡大するであろう。それらメッセンジャーアプリ自体は無料でダウンロードして利用することが可能であるが、回線(ネットワーク)は通信事業者が提供することになる。メッセンジャーアプリ利用に向けた様々な料金プランを迅速に提供できることがアフリカをはじめとする競争が激しい新興国の通信事業者にとっては今後ますます重要になってくる。

(出典:Econet)

【参考動画】
EconetのテレビCM(WhatsAppプランとは関係ない)

HuaweiとジンバブエEconetによる「Ascend P6」当選者への賞品授与式

*本情報は2014年5月18日時点のものである。

※1 IT Web Africa (2014) 13 May 2014, “‘WhatsApp accounts 23% of Econet Zimbabwe’s network usage’  http://www.itwebafrica.com/telecommunications/154-zimbabwe/232883-whatsapp-accounts-23-of-econet-zimbabwes-network-usage

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