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Global Perspective 2014
2014年5月9日掲載

日本、EUと「サイバー対話」創設:サイバーセキュリティにおける情報交換の重要性

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁
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ベルギーを訪問している安倍首相は2014年5月7日、欧州連合(EU)のファンロンパウ欧州理事会常任議長(大統領)、バローゾ欧州委員長とブリュッセルのEU本部で会談した。日EUの経済連携協定(EPA)の早期締結を目指す方針も確認し、合意事項をまとめた共同声明を発表した(※1)。

その中でサイバー攻撃への対処について協力を進める「サイバー対話」(EU-Japan Cyber Dialogue)創設で合意した。以下が共同宣言の中にあるサイバーセキュリティに関する箇所である。

以下引用(下線筆者)

(原文)
Facing more severe, widespread and globalised risks surrounding cyberspace and the need to protect human rights online, protection of a safe, open and secure cyberspace is needed. With this shared recognition, we have decided to launch an EU-Japan Cyber Dialogue, with a view to promoting cooperation on cyberspace through exchanges of our respective extensive experience and knowledge.

(外務省仮訳)
より深刻化し、拡散し、グローバル化したサイバー空間を取り巻くリスク及びオンライン上の人権の保護の必要性に直面する中、安全で開かれたサイバー空間の保護が必要である。この共通認識を踏まえ、我々は、日EU 双方の広範な経験や知見の交換を通じてサイバー分野の協力を促進するため、日EU サイバー対話の立ち上げを決定した。

また安倍首相は2014年5月6日、「北大西洋理事会における安倍内閣総理大臣演説〜日本とNATO:必然のパートナー〜」において、サイバー攻撃については以下のように述べている(※2)

以下引用(下線筆者)

大量破壊兵器や弾道ミサイル、テロやサイバー攻撃など、脅威は瞬時に国境を越えてやってくる。もはや、どの国も、一国のみでは、自国の平和と安全を守ることはできない時代です。(中略)
ラスムセン事務総長との会談では、IPCPに基づき、海洋やサイバー空間といった国際公共財から、災害救援、防衛交流に至るまで、幅広い分野での協力に合意しました。

サイバーセキュリティにおける情報交換の重要性

サイバーセキュリティはもはや1か国だけでは解決できる問題ではなくなってきている。現在、多くの国家、社会ではオープンなプラットフォームに構築されていることから、共通の脆弱性を抱えている。つまり、日本が受けたサイバー攻撃はEU諸国でも同じ攻撃を受ける可能性が高い、またその逆で、EU諸国が受けたサイバー攻撃を日本も同じ被害に逢う可能性も高い。このようなサイバー攻撃を回避するためにも相互の情報交換が重要になってくる。

サイバースペースとはシステムの塊であり、そのシステムは複雑で多くの未知の脆弱性を抱えている。その未知の脆弱性を突いて侵入してくるのがサイバー攻撃である。未知の脆弱性の検出と対応は1か国だけでは限界がある。さらに脆弱性などの情報を受けて瞬時にシステムのプログラムを修正する対応力も問われてくる。

今後もサイバーセキュリティに関する情報交換の「場」はEUとだけでなく、世界的な規模で重要になってくる。

※本情報は2014年5月8日時点のものである。

※1 外務省(2014年5月7日)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/ep/page18_000294.html
共同宣言は以下
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000037966.pdf

※1 内閣府(2014年5月6日)
北大西洋理事会における安倍内閣総理大臣演説〜日本とNATO:必然のパートナー〜
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement/2014/0506nato_enzetsu.html

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