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Global Perspective 2014
2014年3月28日掲載

タブレットが変えるザンビアの教育:「ZEduPad」

(株)情報通信総合研究所
グローバル研究グループ
副主任研究員 佐藤 仁
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世界銀行の調査ではザンビアは国民の18%にしか電気が行き届いていない国である(※1)。そのアフリカのザンビアでタブレットが教育を変えようとしている。

30年以上ザンビアに住んでいるイギリスの起業家Mark Bennett氏がザンビアの小学校でタブレット「ZEduPad」を開発するにあたってここまで約500万ドルを投資している。7インチ・32Gのタブレットは中国で1台あたり100ドルで製造される。Wi-Fiにも対応している。バッテリーの持ちは6〜9時間程度。そのタブレットに小学校1年生から7年生までの12,000の教材がプレインストールして、1台200ドルで学校や先生に販売されている。教材は「iScool.zm」が提供しており、英語や現地の言語など8か国語に対応している。

「ZEduPad」には勉強教材の他にも大人向けに農業情報と、結核やマラリアで多くの人が死亡するのでそれらを回避するためのヘルスケア関連の情報も提供している。

人口約1,400万人のザンビアの平均年齢は16.7歳と非常に若い国である。CIAの統計によると、5〜14歳の子供の労働者が100万人以上存在し、15歳以上の識字率は61%と低い(特に女性は51%と男性よりも識字率が低い)(※2)。日本では信じられないかもしれないが、全員が小学校に行けるということはない。ザンビア政府では2001年から小学校への就学率を90%以上にすることを目標としてきた(※3)。そして同国には110万人を超えるHIV患者が存在している。多くのアフリカ諸国では貧困環境にあると義務教育でも学校に行かなくなり、中退してしまうことが多い。そして電気が行き届いてない地域も多い。

ザンビアはまだまだ解決しなくてはならない問題が多くある国であるが、教育現場でタブレットが活用されることによって、学校での勉強の楽しさを知ると同時に識字率、ICTリテラシーの向上が期待される。

日本や先進国ではタブレットが教育に使われていることも多く日常的な光景であるが、ザンビアの学校でのタブレット導入は、同国のような途上国の教育に大きなインパクトを与えている。

(表1)ザンビアの人口ピラミッド (2014年)

(出典:アメリカCIA)

(図1)ZEduPad

(出典:ZEduPad)

(図2)ZEduPadでの1年生の教材と、それを家で利用する子供とその家族

(出典:iScool.zm)

(参考)

【参考動画】

ZEduPadのテレビ広告

*本情報は2014年3月28日時点のものである。

※1 CNN(2014) 19, Feb 2014 “Who needs textbooks? 'Zambian iPad' goes to school”
http://edition.cnn.com/2014/02/19/business/who-needs-textbooks-zambian-ipad-school/

※2 CIA (2014) https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/za.html

※3 innov8tiv(2014) 6 mar 2014, “The ZEduPad – A Zambian Computer Tablet Taking Education To A New Height”http://www.innov8tiv.com/zedupad-zambian-computer-tablet-taking-education-new-height/

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