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2014年3月17日掲載 |
2014年3月、マイクロソフトが自社のスマートフォンOS「Windows Phone OS」をメーカーに無料で提供するとインドの「The Times of India」が報じた(※1) 。マイクロソフトは正式にはコメントをしていないものの、現在のマイクロソフトのスマートフォン市場を見ていくと多いに考えられる選択である。 現在のスマートフォンOS市場はAndroidとiOSで90%以上を占めており、マイクロソフト「Windows Phone OS」は3%程度と、その差は歴然である(※2) 。 グーグルが供給しているAndroidはメーカーに対して無料で配布されており、どのメーカーでも開発ができる。iOSの場合はAppleのみが生産・販売しているiPhoneなので、他メーカーにOSを供給することはない。 一方、マイクロソフトの「Windows Phone OS」はメーカーからライセンス料を要求している。そのため、端末のコストにはそのライセンス分も入るため、決して安価ではない。それがマイクロソフトのビジネスの根幹であり、重要な収入源である。2011年に提携し、マイクロソフトが買収を発表したノキアですら、無料で「Windows Phone OS」を利用して端末を開発することはなかった。 そのマイクロソフトがインドのLavaとKarbonnの2つのメーカーに対して「Windows Phone OS」を無料で供給するというニュースが報じられた。他にもXoloの名前も上がっている。こちらもインドでは有名な端末メーカーである。 「Windows Phone OS」はインドから普及するのか?インドのメーカーであるLavaとKarbonnは日本人には馴染みがないかもしれないが、インドではベスト5に入るメーカーで有名である。インドのスマートフォン市場はまだまだこれから成長する余地も大きい潜在能力を秘めた市場である。ひょっとするとインドから「Windows Phone OS」が普及していく可能性があるかもしれない。 前途多難な「Windows Phone OS」インドのメーカーであるLavaとKarbonnは日本人には馴染みがないかもしれないが、インドではベスト5に入るメーカーで有名である。インドのスマートフォン市場はまだまだこれから成長する余地も大きい潜在能力を秘めた「Windows Phone OS」を無料で供給することになると、マイクロソフトの収入源の柱であった「ライセンス料」徴収のビジネスモデルが崩壊することになりかねない。そして、それに代わる新たなビジネスモデルと収入源の確保が必要になってくる。「Windows Phone OS」を無料で供給するようになったとき、マイクロソフトはそのプラットフォーム、端末でどのような新たなビジネスを展開するのだろうか。 そして、無料でOSを供給してきたグーグルのAndroidがここまで市場を席巻してしまった現在、マイクロソフトの「Windows Phone OS」が無料で供給を開始したとしてメーカーは受け入れるだろうか。新しいOSでの端末開発は試験や保守など稼働、すなわちコストがかかってしまう。それらのコストを払ってまでも「Windows Phone OS」を開発して販売するかどうかは、市場で売れるかどうかだ。なによりもユーザーにとって、メーカーへのライセンス料がなくなった分、安価になった「Windows Phone OS」のスマートフォンを欲しいと思わせる魅力的なプロダクトなのかどうか、それが一番重要である。 *本情報は2014年3月14日時点のものである。 (参考) ※1 The Times of India(2014)13 Mar 2014, “Microsoft offers Windows Phone OS free to Indian players” “Microsoft brings Xolo, Lava, Karbonn into the Windows Phone” foldhttp://www.thehindu.com/sci-tech/technology/gadgets/microsoft-brings-xolo-lava-karbonn-into-the-windows-phone-fold/article5722618.ece ※2 IDC(2014) “Android and iOS Continue to Dominate the Worldwide Smartphone Market with Android Shipments Just Shy of 800 Million in 2013, According to IDC” 米国のICT最新レポート
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