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ICTエコノミーの今
2014年12月19日掲載

ICT関連分野の市場動向−2014年9月の動向

(株)情報通信総合研究所
マーケティング・ソリューション研究グループ
研究員 鷲尾 哲
鷲尾の顔写真

2014年9月のICT関連分野の市場動向について、経済産業省が毎月公表している「特定サービス産業動態統計調査」と「生産動態統計調査」を元に整理した。

図表1はICT関連市場を法人向けサービス(売上高)、消費者向けコンテンツ(売上高)、プラットフォーム(売上高)、端末(生産額)の4つのレイヤに大別して動向を表したものである。これを見ると消費増税以降、減少幅が拡大し続けていた端末レイヤが下げ止まった感じがみられる。

図表1:ICT関連分野の市場動向(前年同月比)

図表1:ICT関連分野の市場動向(前年同月比)

各レイヤの内訳をみたのが図表2である。端末レイヤは、2カ月連続すべての項目で前年同月比マイナス10%以上の減少となった。パソコンはWindows XPサポート終了に伴う駆け込み需要による反動減の継続が予想され、端末レイヤ全体では下げ止まった感があるもののパソコンを中心に減少はしばらく続きそうである。一方、プラットフォームレイヤの「オンライン決済」については前年同月比で10%以上の増加が続いている。

図表2:ICT関連分野の市場動向内訳(前年同月比)

図表2:ICT関連分野の市場動向内訳(前年同月比)

そこで今回は、好調な「オンライン決済」について見てみたい。これは特定サービス産業動態統計調査の中で、「課金・決済代行業務」の売上高として公表されている。いわゆるインターネット上での買い物における決済を代行するサービスである。電子商取引(EC)市場は、消費者向けを中心に伸びており、2013年は11.2兆円(前年比17.4%増加)となっている(※1)。スマートフォンやタブレット端末の普及によりECサイトの利用者が増加したことや、Yahoo! JAPANの出店無料化(※2)などにより出店数の増加が牽引していると考えられる。

EC市場の拡大と同時に、クレジットカード決済、携帯キャリア決済、コンビニ決済など決済手段も多様化しており、利用者ニーズからできるだけ多様な決済手段を用意することを考えた場合、自前でシステム整備や決済機関との契約を行うよりも決済代行サービスを利用した方がコスト軽減になるものと考えられる。ある意味ネットショッピングとともに成長してきたサービス分野とみることができ、今後も拡大が期待できる分野の1つである。

(※1)経済産業省「電子商取引実態調査」
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html

(※2)Yahoo! JAPAN、eコマース事業における新戦略を発表
http://pr.yahoo.co.jp/release/2013/1007a.html

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